2011年08月11日 10:44 公開

「逆子」を鍼灸で治療

28週なら90%が正常化―胎児の自己回転促す―

 東洋医学が見直され始めて久しいが、鍼灸(しんきゅう)が逆子(骨盤位)の矯正に有効だという。逆子はよく知られているように、早産の危険性などがある。それが鍼灸で矯正できれば、母子にとって大きなメリットと注目されている。

逆子は全分娩の3~5%

 東邦大学医学部付属大森病院(東京都)産婦人科・東洋医学診療の林田和郎氏によると、逆子での分娩(ぶんべん)は全分娩の3~5%を占める。その原因はまだ分かっていないが、逆子に伴う主な問題として次のような点が挙げられる。

 まず、早産しやすいということがある。また、分娩に際しては、分娩に時間がかかる上に赤ちゃんが仮死状態で生まれてきたり、鎖骨骨折を起こしたりなど、正常分娩に比べて危険性の高いお産になる。

 従来、逆子の矯正法には、母親が胸膝(きょうしつ)位という体位を取る「逆子体操」や、直接おなかの上から手で胎児を回転させる「外回転術」がある。しかし、前者は有効性が疑問視されており、後者は安全性に問題がある。そこで着目されたのが、鍼灸を主体とした東洋医学の矯正法だ。

 通常は(1)至陰(足の小指にあるつぼ)の灸、(2)三陰交(くるぶしの内側から骨に沿って指4本分上のつぼ)の刺鍼あるいは灸頭鍼や灸―を2~3日置きに行う。刺鍼とは、針で軽い刺激を与えること。灸頭鍼は、皮膚に刺した針の頭にウズラの卵大のもぐさを付け、もぐさを燃やす熱で刺激を与える。

副作用はなし

 不定愁訴(はっきりしない体の不調)があるような場合は、補助的に漢方薬を用いたり、他のつぼへの鍼灸を行ったりすることもある。林田氏は、こうした矯正法を2,000人以上に実施し、妊娠28週から開始したケースでは成功率89.9%。矯正が難しいとされる妊娠34週前後でも42.5%に達している。

 逆子は自然に治るケースもあるが、それと比べても明らかに高い矯正効果だと言える。このように有効なのは、つぼへの鍼灸が血液の末梢(まっしょう)循環を改善するとともに骨盤底筋肉や子宮の筋肉に作用し、胎児の自己回転を促すからと考えられる。もちろん、副作用の心配はない。

 また、至陰や三陰交の灸は、やり方を覚えれば自宅でもできるメリットがある。逆子と分かったときには、妊娠26~28週ぐらいからこの矯正法を始めるとよい。

 同科のように東洋医学診療を行っている産婦人科は少ないが、希望者は受診している産婦人科医に相談し、信頼できる鍼灸治療院を紹介してもらうのも1つの方法だ。

1994年11月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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