2011年08月11日 10:44 公開

刺し身を食べた後に激しい腹痛「アニサキス症」

幼虫が胃や腸で動く

 刺し身を食べて4~5時間後に激しい腹痛が起きたら、「アニサキス症」の疑いが濃厚。「我慢しないで、早く消化器内科を受診してほしい」と、東京医科歯科大学大学院国際環境寄生虫病学分野の赤尾信明・助教授はアドバイスする。

潰瘍と誤診も

 アニサキス症は、サバ、カツオ、イカ、タラ、アジなど、ほとんどの魚介類に寄生する回虫、アニサキスの幼虫が人の口から体内に入り、胃や腸で動き回ることによって激しい痛みが起こる病気。十二指腸潰瘍や胃潰瘍と間違われることが少なくない。幼虫は体長が2~3センチ、幅1ミリぐらいの大きさで、乳白色をしている。人の体内で脱皮するが、大きく成長はしない。

 「アニサキスは、胃の粘膜に頭を突っ込んだり、代謝物を出したりするので、それらによるアレルギー反応で胃が収縮するときに痛みが生じると考えられています」と赤尾助教授。

 アニサキスが回腸(小腸)の末端に進んだときにも、やはり、アレルギー反応によって腸の壁が少しずつ厚くなり、やがて腸閉塞となる。食物が通らなくなるため、激しい痛みが起こる。

 アニサキスが胃の中にいる場合には、内視鏡の鉗子(かんし)でつまみ取ると、"七転八倒の激痛"が、うそのように消える。

新鮮なうちに食べて

 しかし、アニサキスが回腸の末端辺りに達すると、内視鏡が使えないため、経過を観察しながら、腸閉塞にならないように対症療法を施す。腸閉塞に進むと手術となるので、痛みは我慢しないで、早めに治療することが大切だ。

 アニサキスは、魚の内臓などに寄生しているが、魚が新鮮なうちは直径3~4ミリの薄い膜の中に丸くなって入っている。魚の鮮度が落ちてくると膜を破って外へ出て、筋肉に入っていく。鮮魚店は経験上、魚の内臓は早いうちにきれいに取り除いて販売している。しかし、ときには取り残すこともある。

 赤尾助教授は「刺し身は新鮮なうちに食べること。締めサバの場合、皮の部分にはアニサキスはいないので、身の部分をよく見て、虫がいれば取り除く。アニサキスは熱には弱いので、十分に火を通すとよいでしょう」と話している。

2004年4月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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