2011年08月12日 10:44 公開

ロックコンサート後の「急性音響性難聴」にご注意

大きな音で耳の器官に障害―1週間以内に受診を

 ロックコンサートなどで瞬間的な大きな音や持続的な大音量にさらされることにより、「急性音響性難聴」になることがある。慶応義塾大学医学部(東京都)耳鼻咽喉科の小川郁講師は「大きな音を聞いた後に耳の調子が変化したことがある人は、注意が必要です」と話す。

パチンコ店やヘッドホンでも

 急性音響性難聴は、年齢に関係なく、誰にでも起こり得る。例えば、工場などで大きな爆発が起きる、花火の打ち上げや爆竹の破裂が耳のそばで起きる、耳の近くで銃が発射されるといった事故に巻き込まれた場合は、その音が一定の音圧以上であれば、難聴になる可能性がある。

 このほか、音楽のコンサートやクラブ、パチンコ店、さらにヘッドホンで聴く携帯音楽プレーヤーなどで、予想外の大きな音に出合って難聴になる場合もある。

 急性音響性難聴は、聞こえなくなる場合からキーンという耳鳴りを感じるだけの場合まで自覚症状に幅があり、軽い目まいを伴うこともある。

 音響性難聴は、蝸牛(かぎゅう=カタツムリのような形をした音を感じる器官)という耳の器官に障害が起きるのが原因だ。

 「耳は音を振動で感じて、これを電気信号にして脳に伝えます。振動が異常に大きいと、蝸牛では血管が縮んだり細胞が傷付いたりして、難聴になります」と小川講師。

 難聴は、細胞が傷付いた場合は治りにくく、血管が縮んだ場合は治りやすいなど多少の違いはあるが、どちらの場合も、障害が起きて1週間以上経過すると治りにくくなる。難聴の原因が細胞か血管かの診断は、治療しなければ分からない。

"耳の弱い人"は特に注意

 このため、早めの受診が重要となる。治療には、入院が必要な場合もあるが、多くは通院で済み、血液の循環を改善する薬とステロイド薬を併用する。

 治療とともに安静が必要で、学校や仕事はできるだけ休み、音楽を聴いたりテレビを見たりせずに、できるだけ静かな環境の中で過ごすとよい。

 体質に個人差があるように、耳の強さにも個人差がある。パチンコ店やコンサート会場から出た後、人の声がわんわんと反響するなどを感じたりしたことがある人は、耳が弱いと考えられる。

 「そういう人は、飲酒や疲労、睡眠不足が引き金になって難聴になる恐れがあるので、体調が万全でないときは、ロックなど音量の大きいコンサートやパチンコ店に行かない方がよいでしょう。携帯音楽プレーヤーの音量にも気を付けてください」と、小川講師は注意を呼び掛けている。

2001年1月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

関連トピックス

ファーマトリビューン(PharmaTribune)