2011年08月15日 15:34 公開

高齢者に増える「逆流性食道炎」 胃液が喉に逆流

前かがみや過食を避けて

 逆流性食道炎が、高齢者を中心に増えている。古賀病院(福岡県)消化器内科の福山浩二氏は「逆流性食道炎は、胃液が逆流して食道の粘膜に炎症を起こす病気で、逆流を防ぐためには姿勢や食生活の工夫が大切です」と話す。

胸焼けやつかえ感が

 逆流性食道炎は、食後に起きる胸焼けや喉まで上がった胃液で、食道につかえ感や痛みが生じるなどが一般的な症状。しかし、高齢者では自覚症状がほとんどないこともある。

 胃液の逆流は、食道から胃への入り口部分(下部食道括約部)が老化などによって緩むことが原因だ。胃液中の胃酸は酸性度が非常に高い。このため、胃壁は、粘液を分泌して、胃酸を防御しているが、食道にはそうした備えがないことから、胃液が逆流すると、粘膜が傷ついてしまう。こうした逆流性食道炎は高齢者に多く見られ、男性よりも女性に多い。

 「腰が曲がっていたり、前かがみの姿勢を長時間続けたりしていると、腹圧が上がって胃液が逆流しやすくなります。過食や高脂肪食、肥満も要注意です」と福山氏。

 最近、佐賀医科大学で内視鏡検査を受けた人では、16%に逆流性食道炎が見つかった。逆流性食道炎はこれまで、発症率が数%とみられていたが、高齢者の増加や食生活の欧米化を背景に増えているようだ。

 治療は、のみ薬(プロトンポンプ阻害薬=PPI=など)の服用でほとんどの場合、症状が改善する。しかし、放置して何度も食道炎を繰り返している人では、まれに炎症を起こしている部分ががん化する恐れもある。

睡眠中は上体を高く

 逆流性食道炎には、食事や姿勢などの生活習慣も密接にかかわっている。「薬は炎症を和らげますが、胃液の逆流を改善するわけではありません。再発を防ぐためには、生活習慣の改善も大変重要です」(福山氏)

 まず、胃が膨れて下部食道括約筋が緩むのを防止するためには、過食を避け、腹八分目の食事を心掛ける必要がある。逆流を起こしやすい高脂肪食や、消化が悪い魚介類、刺激の強い食品は避けること。喫煙や飲酒も、症状を悪化させるのでやめることが大事だ。

 逆流性食道炎を悪化させる可能性がある食品

  • 消化が悪い魚介類(イカ、タコ、貝類、塩気の多い魚など)
  • 繊維の多い野菜(タケノコ、セロリ、ゴボウなど)
  • 刺激の強い野菜(タマネギ、ニラ、ニンニクなど)
  • 果物(レモン、ミカン、イチゴ、ナシなど)
  • 刺激の強い香辛料や甘いもの
  • 脂肪分の多い肉(ベーコン、牛肉や豚肉の脂身)

 逆流性食道炎に比較的好ましい食品

  • 消化が良いもの(おかゆ、パン、うどんなど)
  • 高タンパク質の食品(白身魚、半熟卵、鶏のささ身など)
  • 高ビタミンの食品(緑黄色野菜、リンゴ、バナナなど)

 腹圧の上昇の防止には、農作業や園芸などでは、長時間前かがみの姿勢を続けないようにし、また、ベルトやガードルなどで腹部を圧迫することは避ける必要がある。胃液は、食後すぐに横になると逆流しやすいため、睡眠中も上体を少し高く保つようにするとよい。

 同氏は「逆流が起きやすい状況は、患者によって違います。日ごろ、逆流症状がどのような状況でどんな食べ物で起きたかをできるだけ書き留めておいて、食生活や姿勢を工夫すると効果的です」と助言している。

2001年8月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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