2011年08月16日 15:34 公開

こんな物忘れに注意! 数分前の出来事を忘れ質問繰り返す

 数分前のことを思い出せない、同じ質問を繰り返す―こうした物忘れは、アルツハイマー病の前兆である可能性が高い。福岡大学医学部第5内科の山田達夫教授(神経内科)は「物忘れが気になったら、ためらわず受診することです」と話す。

記憶力低下の自覚薄い

 年を取れば誰でも物忘れしやすくなるが、加齢による正常な物忘れと病的な物忘れには違いがある。加齢による正常な物忘れは、人の名前や字を忘れるなど、ヒントを与えると思い出すことが可能で、記憶力の低下を自覚している。

 一方、アルツハイマー病などの前兆として表れる病的な物忘れは、新しいことが覚えられなくなるという特徴がある。数分前の会話や出来事を忘れてしまい、同じことを何度も質問し、捜し物が多くなるといったことが目立つ。記憶力が低下したという意識が薄く、作り話をして物忘れをごまかすこともある。家族がおかしいと気付くケースがほとんどだ。

 このような異常な物忘れを起こすことのほかには何も知的機能障害がない状態は、軽度認知障害(MCI)と呼ばれ、MCI患者の半数が数年後にアルツハイマー病に進行することが分かっている。

 山田教授は「MCI患者は脳細胞のダメージが少ないので、運動や睡眠、栄養などの生活習慣を改善することによって、アルツハイマー病への進行を遅らせることが十分可能です」と、少しでも早い受診を勧める。

増える「物忘れ外来」

 最近、認知症の早期発見と治療を目的とした「物忘れ外来」を設置する医療機関が増えている。福岡大学病院には「物忘れ外来」の表示はないが、山田教授は新聞記事や同院ホームページを見た患者の家族などから電話で予約を受け、物忘れのある患者を診察している。内科外来で気軽に相談できることもあり、週平均6人の初診患者が来るという。

 物忘れが年相応か病的なのかは、問診や認知機能検査(ミニメンタルテストなど)、核磁気共鳴画像法(MRI)などで診断する。福岡大学病院の場合、受診者の20%が正常、70%がアルツハイマー病、残りは一過性全健忘、脳血管性の認知症、MCIなどで、MCIは全体の5%ほどだ。

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 「MCIのうちに早めに診断を受け、積極的に日常生活を送ってほしい」と同教授は話している。

2002年1月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)