2011年08月17日 16:03 公開

高齢者に多い「大腸憩室」―便がたまると炎症や出血

 大腸壁の一部が外側に膨らむ大腸憩室が、高齢者に増えている。大腸憩室そのものは病気ではないが、そこに便がたまると炎症や出血を起こす。

70歳代では2人に1人

 大腸憩室は、便秘や、下痢と便秘を繰り返す便通異常などで腸管内の圧力が上がるために、腸管の弱い部分から粘膜が袋状に飛び出した状態。原因は、加齢と食生活の欧米化だ。

 東邦大学医学部(東京都)第一外科の寺本龍生教授は「大腸憩室は、他の大腸疾患でバリウム注腸造影検査を行った人の40%近くに認められます。それも加齢に伴って多くなり、70歳代では約50%にも見られるほどです」と言う。

 大腸憩室ができても症状はないが、そこに便がたまって憩室炎を起こすケースが多い。「憩室炎の症状は、炎症の程度によって異なりますが、痛みと発熱が主で、便に少量の出血が交じる場合もあります。さらに炎症が膀胱(ぼうこう)に及ぶと、尿にガスが交じるようになります」

大量出血起こすことも

 腸壁の筋肉層には動脈が通っているが、憩室炎の結果、その部分がただれると、ショック状態になるほどの大量出血を起こすこともある。

 「激しい出血でショック状態に陥った場合は、迷わず救急車を呼ぶべきです。それ以外の症状を自覚したときは憩室炎を疑って、消化器内科を受診するとよいでしょう」(寺本教授)

 治療は、最も多い憩室炎だけの場合は、2週間ほど入院して安静を保つとともに、抗生物質を用いる。大量出血したときは輸血を要することもある。さらに炎症が広範囲に及んでいるケースでは、手術を要する。

 同教授は「大腸憩室は総じて再発しやすいので、治癒後も日常生活では野菜などの繊維質の多い食べ物を多く取ることが大切です。また、出血の経験が2回以上ある人は、体調の良い時期を選んで、予防的に手術に踏み切った方が望ましいでしょう」と話している。

2002年4月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)