2011年08月17日 16:03 公開

うどんや雑炊などに注意! 高齢者の「食後低血圧」

食後1時間ごろに目まいやふらつき

 体が温まって消化も良いうどんや雑炊は高齢者に好まれるメニューだが、慌てて一気に食べると「食後低血圧」という思わぬ事態を招くことがある。目まいやふらつきを起こす食後低血圧について、久留米大学医学部(福岡県)心臓・血管内科の松岡秀洋・助教授に聞いた。

失神することも

 食後低血圧は、高齢者に起こる例が圧倒的に多い。食後30~60分に収縮期(最大)血圧で20ミリメートルHg以上低下し、2~3時間後に正常化する。最も血圧が下がる食後1時間ごろに、目まいやふらつきなどの症状が起こりやすくなる。脳への血流が著しく低下すると、失神することもある。

 食べ物が胃の中に入ると、消化管ホルモンの1つとして働く腸管ペプチドが腹部の血流を増やし、全身の血管を広げる。その分、心臓に戻る血液量が減少して血圧が下がるが、体はこれを素早く察知して心臓の拍動を速くし、血管を収縮させて血圧を上げる。しかし、自律神経の異常などが原因で、こうした代償反応がスムーズでないと、食後低血圧になる。

 「食後低血圧は、高齢者、特に糖尿病に合併する神経障害やパーキンソン病、高血圧などがある場合に多く、米国では、高齢者介護施設入居者の約3割が起こしているというデータもあります。高齢者の食事介助をする際に、ぜひ知っておいてください」と松岡助教授。

コーヒーや緑茶で予防

 食後低血圧を起こしやすいのは、炭水化物の多いご飯やめん類などの温かい料理だ。特に、食べ過ぎたり慌てて食べたりすると、胃壁が急に伸びたことで迷走神経が刺激され、腸管ペプチドが多量に放出されるため、血圧が急に下がる。

 予防はゆっくり食べることが基本で、少量ずつ回数を多くするとよい。コーヒーや緑茶を食前に飲むと、成分のカフェインが腸管ペプチドによる血圧を下げる働きを抑える。また、普段横になっていることが多いと、食後、長時間ベッドの背を起こしていることによって誘発される場合があるので、気を付けること。

 松岡助教授は「食後低血圧は、食べ過ぎ、疲労、飲酒のほか、薬の副作用なども原因になることがあります。予防策を講じても改善されない場合は、医師に相談してください」と話している。

2006年10月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)