2011年08月24日 17:36 公開

手首の関節が痛む"手の腰痛"

軟骨と靱帯が損傷のケースも―野球やゴルフができない

 日常生活で手首を痛めるケースが多いが、整形外科を受診しても見逃されがちなのが「手関節三角線維軟骨複合体」の損傷。注意点を、手の外科専門外来を設けている慶応義塾大学病院(東京都)整形外科の中村俊康医長に聞いた。

タオルも絞れない

 同院手の外科専門外来を受診する人で最も多いのが、"手の腰痛"といわれる手首の関節痛を訴えるケース。中でも注意を要するのが、手関節の三角線維軟骨複合体(TFCC)と呼ばれる組織の損傷だ。

 「TFCCは、軟骨と靱帯(じんたい)からできている人間特有の組織で、外傷や反復運動によって切れたり、摩耗したりするなど、損傷しやすいのです」と中村医長。症状の特徴は手首の小指側の痛みで、タオルを絞る、ドアのノブを回す、蛇口をひねる、ペットボトルのふたを開けるときなどに痛みが走る。

 「スポーツでは、野球やゴルフなどのスイングで傷める人が多い。右利きの人なら、スイング時にひねりが大きく掛かる左手の関節を損傷しやすいのです。私たちの所には、ゴルフや野球の素振りができないと言って受診する人が絶えません」(同医長)

保存療法で70%改善

 問題は、TFCCが切れたり緩んだりしていても、一般的なレントゲン検査では写らないため見逃されやすい点。「原因不明の手首の関節痛に悩んでいる人は、一度『手の外科専門外来』のある整形外科を受診するとよいでしょう。TFCC損傷のほとんどは、症状の特徴と問診、磁気共鳴画像診断装置(MRI)や関節造影検査による画像検査で診断が付きます」(中村医長)。

 治療は病態によって異なるが、軽い場合はまず、専用のベルト付きサポーターを用いた保存療法が行われる。「通常、保存療法で70%前後の人は改善されますが、専用サポーターを3カ月着けても改善されない場合は、内視鏡を用いた手術か切開手術が必要になります。また重症の場合は、最初から手術療法を取ります」(同医長)

 中には、手首の関節痛程度と思って市販の湿布薬に頼る人もいるが、それでは後手に回りかねない。同医長は「自己判断に頼らないで、早期に専門医に診てもらうように」とアドバイスしている。

2005年4月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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