応急手当て
2011年09月02日 16:03 公開

急な腹痛・大人の場合 (応急手当て10)

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激痛なら救急車を呼んで-素人判断は避ける

 急におなかが痛くなることはよくある。トイレに駆け込んだりすれば治ってしまうケースが多いが、中には耐えられない痛みに続けて襲われることも。激しい腹痛は命にかかわる病気のことがあるので、一刻も早く救急医療機関にかかることだ。

心臓などの病気も

急な腹痛は胃や腸など消化器の病気によるものばかりではなく、心臓やぼうこうなどほかのいろいろな病気でも起こってくる。痛む所と患部とは必ずしも一致するわけではないが、痛みの場所や性質によってある程度、原因を推測することはできる。
急におなかが痛くなったときに注意したいものには、次のようなものがある。

  1. おなか全体が激しく痛む
    腹部の大動脈にできた瘤(こぶ)が破れ出血する「腹部大動脈瘤(ふくぶだいどうみゃくりゅう)の破裂」や、腸に血液を送る血管が詰まり腸が壊死(えし)を起こす「腸間膜動脈血栓症」。
  2. みぞおちが痛む上腹部痛
    これには「急性心筋梗塞」のほか、大動脈が裂け痛みがおなか全体に及ぶこともある「解離性大動脈瘤」、また「胃・十二指腸潰瘍とそのせん孔」や「急性すい炎」。さらに、脂っぽい食事のあとに起こりやすく、特に右上腹部が刺されるように痛み、背中も痛むことがある「胆石症」、おなか全体が痛むこともある「急性胃腸炎」、進行すると痛みが右下腹部に移る「初期の虫垂炎」のこともある。
  3. へその周辺が痛む中腹部痛
    腸がねじれて血行が断たれ、その部分が壊死を起こす「腸管軸捻症」がある。
  4. へそより下が痛む下腹部痛
    「ぼうこう炎」のほか、主に早朝に痛み背中や腰も痛むことがある「腎臓・尿管・ぼうこうの結石」。女性では「子宮外妊娠の破裂」や、卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)がねじれる「卵巣嚢腫茎捻転(らんそうのうしゅけいねんてん)」も。

顔は横に向けて

急な腹痛は自然に治ってしまう場合もあるが、我慢できないような激しい腹痛の場合は、重い病気の可能性が高いので救急車などで一刻も早く救急医療体制の整った病院へ行き診てもらうことだ。特に腹部大動脈瘤の破裂、腸間膜動脈血栓症、解離性大動脈瘤は、命を脅かすことがあるので急を要する。

 そのほか緊急手術を必要とするケースとしては急性虫垂炎、重症の腸重積、胃・腸のせん孔または閉塞による破裂、急性化のう性胆のう炎、急性壊死性すい炎、肝がんによる肝臓の破裂、子宮外妊娠破裂、卵巣嚢腫茎捻転が挙げられる。

 救急車が来るまでの応急処置としては、吐いた物がのどに詰まらないように顔を横に向けて寝かせること。医師の診断を受けるまで原因がはっきりしないので、おなかを温めたり冷やしたりしない。

 腹痛以外の症状があるかどうかにも注意したい。吐き気や嘔吐(おうと)、下痢があれば胃腸炎など消化管の病気、発熱や寒気があれば重い感染症の可能性がある。 こうした症状が続くときは、できるだけ早く検査設備の整った総合病院で診療を受けることが大切になる。

記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの

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