応急手当て
2011年09月02日 16:03 公開

救急車を呼ぶとき (応急手当て12)

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蘇生法の講習を受けて

 緊急事態が発生したら、とりあえず救急車を呼ぶ。しかし、救急車が来るまでどうしたらいいのだろう。どんなときにも、慌てずに人工呼吸や心臓マッサージが行えるように、だれもが蘇生(そせい)法の講習を受けておくとよい。

口へ息を吹き込む

 急な病気や事故で呼吸が止まってしまうと、続いて心臓も止まり、やがて脳の機能も停止する。心臓と肺が同時に停止した場合、心肺蘇生法(人工呼吸と心臓マッサージ)を2分以内に施すと90%は蘇生するが、それ以後蘇生率は急落する。

 倒れた直後に救急車を呼んでも、救急車が現場に到着するまである程度は時間がかかる。このため、患者のそばにいる人が、心肺蘇生法を行えるかどうかが極めて重要になる。救急車を呼ぶのと並行して意識、呼吸、脈拍を確認して、必要なら心肺蘇生法を実行することだ。意識、呼吸、脈拍を調べるときの方法、注意点は─。

(1)意識はあるか? 耳元で呼びかけたり、頬などをつねったりなどして反応したら意識がある。その場合は安静にして救急車を待つ。意識がない場合は、気道(息の通り道)を確保する。舌が喉を塞がないように、おとがい(あごの先端)を指で持ち上げ、もう一方の手は額に当てておく。そのままの状態で呼吸を確認する。

(2)呼吸はしているか? 耳を口に近づけて呼吸音を聞く、頬を口に近づけて息を感じる、目で胸の上下動を見る。5秒間調べ、何か感じれば呼吸している。

 その場合は昏睡(こんすい)体位で寝かせ救急車を待つ。昏睡体位とは、吐いた物で喉が詰まらないように右側を下にして横に寝かせ、あごを前に出し左手の甲をまくらのように頬の下に置く姿勢だ。

 呼吸をしていない場合は人工呼吸を行う。気道を確保したまま、額に当てた手の親指と人さし指で鼻から空気が漏れないように鼻をつまみ、自分の口で相手の口を覆い、息を2秒ほどかけて吹き込む。5秒に1回の割合で胸の動きと息を確認しながら、呼吸が完全に回復するまで続ける。ときどき脈拍を調べる。

 初めの吹き込みがスムーズにできない場合は、異物で喉が詰まっている可能性があるので、異物をかき出したり胸の下部を強く圧迫して吐き出させたりする。

胸骨を垂直に押す

(3)脈拍はあるか? 気道を確保したまま、喉仏の左右に走る頸動脈(けいどうみゃく)を中指と人さし指で触れ5秒間調べる。脈がある場合は人工呼吸を続ける。

 脈があるかどうか、なかなか分からない場合は、人工呼吸に加えて心臓マッサージを行う。胸の中央部、胸骨の上に手のひらの手首に近い部分を置き、もう一方の手のひらを重ねる。ひじを伸ばし垂直に体重を乗せ、胸骨を圧迫して4、5センチへこませ、そして暖める。1分間に80回から100回の速さで行い、脈拍が回復するまで繰り返す。

 蘇生法をできる人が1人しかいなかったら、人工呼吸を2回、マッサージを15回という調子で交互に繰り返す。2人いたら分担し、人工呼吸1回、マッサージ5回を交互に繰り返す。

運転免許取得試験の教程や高校の保健の授業にも蘇生法の実習が導入されている。蘇生法は知識だけではいざというときに実行できない。消防署や日本赤十字社などでは人形を使っての実際的な訓練を行っているので、機会を見つけて参加するとよい。

記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの

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