2011年09月20日 17:00 公開

歯科材料によっては、空港などの金属探知機に反応することはありますか?

<専門家へきいてみよう 「質問する」より> 

〔症例〕 40代 女性
〔症状〕 歯科材料によっては、空港などの金属探知機に反応することはありますか?

前例はないようですが、心配であれば歯医者さんで撮影したエックス線写真のコピーを持参しましょう。 

 空港の金属探知機は、金属物の大きさに比例して反応が変わるのと、鉄(原子量55.85。以下、数値は原子量を表します)、金 (197.0)、銀(107.9)、アルミニウム(26.98)、銅(63.55)、ステンレス(鉄、クロム、ニッケルなどの合金)に反応しやすいとされ ており、一般的にチタンには反応しにくいとされています。その理由は、金属物の大きさとその金属の原子量に比例して反応するからです。チタン (47.87)は先に書いた反応しやすい金属のアルミニウムより原子量がやや大きいのですが、その他の金属はすべて原子量がチタンより大きいものばかりで す。

 歯科治療では口の中に多くの金属材料が使われることがあり、そのなかでも金属床(きんぞくしょう)を使った入れ歯が最も金属物として大きく、使用 されている金属も金合金であるため原子量が大きいので、金属探知機に反応する有力候補になります。しかし、入れ歯を取り外せば、問題はなくなります。

 取り外せないものとしては、ブリッジがあります。これには金属としてパラジウム合金が使われていることが多く、パラジウムの原子量は106.4と大きいことから、チタンより数倍金属探知機に反応しそうなものです。

 しかし、空港でこのような口腔内の金属が問題になって、飛行機に乗れなかったという情報はありません。もし、金属探知機に反応する原因が口の中の 金属だけの場合には、口を開けて金属が入っていることを示すか、担当の歯科医院で撮影したエックス線写真のコピーを持参しておけば問題ありません。

 金属探知機の次に問題になると思われるのがMRI検査です。特に、脳血管の検査でMRI撮影を行う場合に、指摘されることがあります。インプラント以外の金属のほうが悪影響を及ぼす可能性が大きいのですが、これも問題視されたことはありません。
 正確な影響は不明ですが、インプラントを入れた部位に10円硬貨ほどの大きさのアーティファクト(人工的画像の乱れ)が出るとの報告もあります。しかし、脳血管のMRI所見に、10円硬貨大のアーティファクトが出たとしても、影響は少なく問題ないと考えます。また、磁性アタッチメント(磁石を使って入 れ歯を落ちないようにしているもの)を使っている場合は、入れ歯のほうに磁石が付いているのでMRI撮影の時は入れ歯を外すようにしてください。

指導・監修

永原 國央(ながはら くにてる)

永原 國央(ながはら くにてる)
朝日大学 歯学部口腔病態医療学講座インプラント学教授