2011年10月06日 10:34 公開

前立腺肥大症の症状にノコギリヤシは無効―米研究

ノコギリヤシ
ノコギリヤシ

 薄毛や前立腺肥大症に有効とされているノコギリヤシ果実エキス。現在も、前立腺肥大症による頻尿や尿失禁、残尿感などの下部尿路症状の治療に広く使用されており、サプリメントもさまざまなメーカーから発売されている。ところが、米マサチューセッツ総合病院のMichael J. Barry氏らがあらためてその効用を検討したところ、ノコギリヤシ果実エキスを投与した人とプラセボ(偽薬)を投与した人で、下部尿路症状など前立腺肥大症による症状の改善効果に差が認められなかったという。詳細は米医学誌「JAMA」(2011; 306: 1344-1351)に掲載されている。

改善の程度は偽薬の方が優れる

 Barry氏らは、ノコギリヤシ果実エキスの効用を疑問視するいくつかの臨床試験報告があることから、2008年6月5日~10年10月10日の72週にわたり、北米11施設で検討を行った。対象者の条件は、年齢45歳以上、米国泌尿器科学会の下部尿路症状指標(AUASI)スコアが8~24、排尿の勢いが分かる最大尿流量が1秒当たり4ミリリットル以上。最終的に369人が条件を満たし、ノコギリヤシ果実エキスを投与する183人とプラセボを投与する186人に、ランダムに分けた。

 ノコギリヤシ群には、1日の標準用量(320ミリグラム)を投与し、試験開始から24週目に標準用量の2倍、48週目からは同3倍と段階的に増量、72週目まで投与した。プラセボ群に対しても同様に24週目と48週目で投与量を増やした。

 試験開始時と72週目のAUASIスコアを比較した結果、ノコギリヤシ群の平均スコアは14.42から12.22に減少し、平均差は-2.20だった。一方、プラセボ群では14.69から11.70に変化し、平均差は-2.99。ノコギリヤシ群とほぼ同じ改善効果が認められた。また、試験開始時と72週目を比較したスコア減少の程度は、プラセボ群の方が0.79優れていた。

夜間頻尿などの改善効果も認められず

 さらにBarry氏らは、排尿負担感、夜間頻尿、最大尿流量、排尿後残尿量、前立腺特異抗原(PSA)値などについても、試験開始時と72週目の平均値を両群間で比較したが、いずれも改善の程度に差は示されなかった。

 この結果から、同氏らは「ノコギリヤシ果実エキスを標準用量の3倍まで増やしてプラセボ群と比較したが、下部尿路症状や前立腺肥大症に関する症状の改善に統計学的に有意な差は認められなかった」と結論。ただし、今回の研究では1種類のノコギリヤシ果実エキスのみを用いているため、潜在的な有効成分や機序については不明としている。

(編集部)

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