2011年10月07日 20:00 公開

むち打ち症で頭痛や目の異常―バレ・リュー症候群

点眼薬や特殊眼鏡で改善、早い治療ほど高い効果

 交通事故で頸(けい)部(首)に損傷を受け、視力の低下や眼痛、頭痛などの症状が出る「バレ・リュー症候群」。梶田眼科(東京都)の梶田雅義院長は「手術の必要がなく、点眼薬や特殊な眼鏡の装着で症状を改善できます」と助言する。

気のせいではない

 交通事故などの衝突による衝撃で頭頸部に損傷を受けたときは、一般的にはむち打ち症と呼ばれているが、医学的には外傷性頭頸部症候群という。頸椎部を捻挫(ねんざ)したり脊髄を損傷したりすると、首や腕、背中などに痛みが出て、重症になると意識障害も起こる。

 このうち、視力低下や眼痛など、顔面や頭部に症状が出るのがバレ・リュー症候群だ。

 健康な人では、目の毛様体という組織の筋肉を弛緩(しかん)させる交感神経と、逆に収縮させる副交感神経が状況に応じてお互いに調整し、目のピントを合わせて正常に見えるようにしている。

 「しかし、頸部に障害を受けて交感神経を損傷すると、ピントを合わせる機能のバランスが崩れて、不快な症状が起こるのです」と梶田院長。

 こうした症状に対しては、一般的な検査をしても異常が認められないことが多く、「気のせい」として治療されないケースもある。

16歳女子生徒のケース

 梶田院長は、毛様体筋の活動状態を観察する「調整機能解析装置」を独自に開発し、こうした目の異常を訴える人を診断してきた。その経験を踏まえて毛様体筋が異常に緊張している様子を色彩(赤)で視覚的にとらえる診断法を確立した。

 「治療には、症状に応じて副交感神経の働きを抑える点眼薬と、逆に交感神経を働かせる点眼薬を使います。さらに自律神経を調節する内服薬を処方するほか、水晶体の屈折力を補正するための遠近両用眼鏡を掛けてもらうなどの治療を行います」(同院長)

 1年10カ月前に交通事故に遭い、頭痛で勉強に支障が出るようになった16歳女子生徒のケースがある。頭痛薬を飲んでも症状が一向に改善しないため、梶田眼科を受診した。点眼薬と、屈折力を補正するための遠近両用眼鏡による治療で、1カ月後に不快な自覚症状が著しく改善し、11カ月後には治療を終えることができた。3年10カ月後にも再発は認められなかったという。

 梶田院長は「治療が早いほど、症状改善までの期間が短くて済みます」と話している。

2008年9月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)