2011年10月12日 12:01 公開

介護者が行う口腔ケアで効率的な方法は?

舌が汚れているのですが、介護者が行う口腔ケアで効率的な方法はありますか?

(女性 20代)

特に、舌の汚れに留意し口腔清掃を行います。舌を傷付けないように注意をしてください。

 舌苔(ぜったい)除去の具体的な方法としては、軟らかい歯ブラシ(軟毛歯ブラシ、永山歯ブラシHOME CARE®など)で丁寧に擦るのがよいでしょう。市販の舌ブラシもありますが、使い方によっては舌を傷つけてしまうことがありますので、軟毛歯ブラシがお勧めです。きわめて軟らかい毛先の歯ブラシで舌の奥から手前へ10回ほど軽くこすり、舌苔を取るとよいでしょう【図1】。

【図1】軟毛歯ブラシで舌苔を除去しているところ

 舌は、健康な状態だと通常、淡いピンクの細かい乳頭で覆われていますが、時に種々な程度の白いコケのような汚れで覆われることがあります【図2】。この舌の上面の汚れを舌苔といいます。舌苔は微生物、舌の剥離上皮、食物残渣(しょくもつざんさ。食べかす)、白血球や唾液に由来するタンパク質等によって構成されています。

【図2】要介護高齢者に見られる舌苔

 舌苔が形成される原因は、口腔の清掃不良、唾液分泌の低下、舌の運動麻痺などの機能の衰え等、複合的な要因が考えられます。正常に舌が機能していると、舌の背面と口蓋(こうがい)が良く擦れ合うので舌表面はきれいになります。舌苔の形成を促進する因子として消化管疾患、糖尿病、発熱、脱水、唾液不良、昏睡、ビタミン欠乏、アレルギー、口腔内の疼痛性疾患、抗生物質の使用、舌の運動麻痺、口呼吸などが考えられています。このように全身疾患は、舌苔の形成因子として重要な関係があるとされていますが、これらの関連性についてはまだ全く実証されていません。

 舌苔は、口臭や誤嚥性(ごえんせい)肺炎との関連が示され、注目されています。口臭は介護者に強い不快感を与えるため、十分な介護が困難になり、舌苔が付着していることにより、口臭を気にして口をいつも隠しながら話す患者さんや、舌苔の付着によって味覚が衰え食欲をなくしてしまった方などにしばしば出会います。
 義歯性口内炎の原因菌として知られるカンジダ属の真菌も舌苔中に存在しています。また、舌苔の中には、誤嚥性肺炎の原因となる細菌が検出されます。誤嚥性肺炎は高齢者の死亡原因の1つでもあり、口腔・舌苔の清掃は、全身症状の管理という視点からも重要です。
 舌の清掃によって歯垢(しこう)の形成が抑制されたという報告もあります。舌苔を取り除くことは、歯周疾患、う蝕(虫歯)、口臭の予防だけでなく、味覚の回復にもつながると考えられ、とても効果的です。しかしながら、現状では舌苔に対しては看護師や介護者の関心が低く、専用の清掃器具も市販されていますが、ほとんど普及していないのが現状です。実際に行ってみると舌苔の清掃は意外と難しいことが分かります。舌清掃は歯磨きのようには普及していないのが現状です。