2011年10月31日 09:13 公開

胃が上にずれる「食道裂孔ヘルニア」―胸焼けやゲップ

食事は腹八分目に

 食道に焼けるような感じが突き上げてきて、常に強い胸焼けやゲップ、胃もたれが起こると、「食道裂孔ヘルニア」が疑われる。「胃が上方に押し上げられて胃酸が逆流するのです。他の病気が原因の場合もあるので、内視鏡検査などで的確な診断と治療を受けることを勧めます」と、順天堂大学医学部(東京都)消化器内科の永原章仁准教授は助言する。

肥満などで腹圧上昇

 胃の中の胃酸は、食道に逆流しないよう食道と胃の境目にある括約筋によって調整されている。さらに、食道は括約筋の周辺に広がる横隔膜を貫通して胃につながっており、括約筋と横隔膜の締まる機能が一緒になって胃酸の食道への逆流を防いでいる。

 ところが、肥満や加齢(特に高齢女性)などによって腹圧が高まると胃が上の方に押し上げられ、位置がずれる。この状態が食道裂孔ヘルニアで、括約筋と横隔膜の締まる機能が著しく低下する。胃液が食道へ逆流し、食道の粘膜を刺激することで胸焼けなどが起こる。

 食道裂孔ヘルニアになると、胸焼けだけでなく、酸っぱい液が食道に上がってくるほか、胃もたれ、胃痛、ゲップなどの症状が重複して表れる。

 「こうした不快な症状は、逆流性食道炎と一緒に起こることもあります。症状が強く表れる場合や長期間続くときは、胃がんや胃潰瘍など他の病気が隠れている可能性もあります」(永原准教授)

胃酸の分泌抑える

 治療では、胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬やH2ブロッカー、それに消化管の運動調整薬などが症状に応じて用いられる。「胃酸を抑えるとともに、胃酸が上方へ上がらないように腸管の蠕動(ぜんどう)運動を起こさせ、胃酸を腸の方へ流れるよう治療するのです」(永原准教授)

 胸焼けを防ぐには、食生活上の注意事項として、(1)食事の量は腹八分目に控えて、横になるのは食後2~3時間たってからにする、(2)甘いものやアルコール飲料、カフェイン含有飲料などは胃酸の分泌を促して逆流を起こしやすくするので控える―ことだ。

 「日常生活ではおなかを強く締めない服装をしてたばこを控える。また、肥満や便秘を解消し、ストレスを発散するよう心掛けることです」と永原准教授は話している。

2008年10月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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