2011年11月21日 15:07 公開

息んでも便が出にくい人は要注意、女性に多い直腸瘤

背景に加齢や出産

 毎日排便はあるが、量が少なく、10分間以上息んでも出ないことがしばしばという人は、直腸瘤(りゅう)が疑われる。「特に出産を経験した中高年女性に多い。大腸や肛門(こうもん)の専門医を受診するように」と、社会保険中央総合病院(東京都)大腸肛門病センターの山名哲郎医長は助言する。

習慣的な息みも誘引

 便は結腸を経て直腸に下がり、肛門から排せつされる。女性の場合、肛門付近の直腸の壁は腟(ちつ)の壁と隣り合っているが、何らかの原因でこの壁が弱くなることがある。

 「弱くなる原因は、加齢や出産のほか、習慣的な息みなどが考えられます。壁が弱くなると、大腸から下りてきた便は、直腸の壁を押して腟の方に広がり、膨らんで袋に入って垂れ下がるような状態になるのです」(山名医長)

 こうなると、息んで腹圧を掛けても便は外へ出にくい。少量は排せつされても大方は袋状の腸の中に残ってしまう。このため、直腸の中の便を指で壁越しに押して排便することもある。

 直腸瘤はあまり知られていない病気だが、出産を経験した50~60歳代の女性に多く見られる。

壁を補強する手術も

 直腸瘤の診断では、造影剤(バリウム)を混ぜた模擬便を直腸に入れて、直腸の形や動きをレントゲンで透視する排便造影検査を行う。

 治療では緩下剤や座薬で排便を促進させる。また、食物繊維の多い食事を取るよう、食生活の改善を図る。運動により腸全体の動きを活発にすることも有効だ。

 それでも排便が容易にいかない場合は、腟と直腸の間の組織を縫合して壁を補強する手術を行う。この手術は1時間ほどで終了するが、約1週間の入院が必要。手術後は1カ月ほどで腟の傷は治り、性生活も可能となる。ただ、手術後は腟が狭くなり違和感を伴うことがあるので、30~40歳代の女性には勧められないという。

 山名医長は「直腸瘤は治療すれば治ります。大腸肛門科や婦人科に相談することを勧めます」とアドバイスしている。

2008年11月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)