2011年11月28日 10:21 公開

缶詰スープで"有毒物質"が20倍以上増加―米研究

 食料品や飲料品の容器などに広く使われる化学物質「ビスフェノールA」は、乳がんや前立腺がん、心臓病や神経疾患などの発症と関連を示す研究結果が報告されている。日本や欧米では対策は取られていないものの、カナダでは有毒物質に指定されている。米ハーバード大学公衆衛生学部のJenny L. Carwile氏らは、缶詰の野菜スープと調理した野菜スープを、それぞれ1日当たり約350ccを5日連続で食べさせたところ、缶詰スープ群で尿中のビスフェノールAの濃度が20倍以上増えていたことを、米医学誌「JAMA」(2011; 306: 2218-2220)に報告した。

ほ乳瓶にも含まれる

 ビスフェノールAはポリカーボネートやエポキシ樹脂などプラスチックの原料で、ポリカーボネートは電気機器やOA機器、自動車のほか、食器や食品の容器にも使用されており、エポキシ樹脂は電気部品や接着剤のほか、サビ防止のため缶詰の内側などにも塗布されている。これらのプラスチックは、強い洗剤や酸・高温の液体に触れると、ビスフェノールAが溶け出すとされる。

 有害性については各国で研究中で、日本では胎児や乳幼児への影響を懸念しつつ、規格値(2.5ppm)と同程度ならば「成人への影響はないものと考えられる」としている。また、米国も具体的な対策を取ってないが、「心配な人はポリカーボネート製のほ乳瓶の代わりにガラス製のものがあることを知ってほしい」と勧告。一方、カナダでは2010年に有害物質に指定された。

缶詰スープ群では全員から検出

 Carwile氏らは2010年、ハーバード大学公衆衛生学部の生徒および職員からボランティアを募り、18歳以上の75人(平均年齢27歳、男性32.0%)を対象とし、缶詰の野菜スープ群(缶詰スープ群)と調理した野菜スープ群(調理スープ群)にランダムに割り付け、尿中のビスフェノールAの濃度を比較した。

 両群に対し、毎日午後12時15分~午後2時の間に12オンス(約355cc)の野菜スープを5日連続で食べさせ、摂取開始4日および5日の午後3~6時に尿を採取。2日置いた後、両群を入れ替えて同様のスケジュールで野菜スープを食べさせ、同じく尿を採取した。なお、対象者には研究で食べる野菜スープ以外に食事制限はしなかった。

 尿検査の結果、ビスフェノールAは缶詰スープ群では100%(75人)、調理スープ群では77%(58人)で検出された。ビスフェノールA濃度は、缶詰スープ群で尿1リットル当たり20.8マイクログラム、調理スープ群は同1.1マイクログラムだった。また、缶詰スープ群は調理スープ群に比べて尿1リットル当たり平均22.5マイクログラム上昇と、20倍以上の増加を示した。

 今回の結果から、Carwile氏らは「5日連続で缶詰入りの野菜スープを食べると、尿中ビスフェノールA濃度が20倍以上増加することが明らかになった」と結論。対象者が食べたのは1つのメーカーのスープだったが、一般的に缶詰製品には同様にビスフェノールAが含まれている点を強調し、「たとえ尿中ビスフェノールA濃度が高いままでなかったとしても、数値の上昇が認められたことは、缶詰食品の容器でエポキシ樹脂材料の代替品を考慮する上で重要な結果だ」とまとめた。

(編集部)

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