2011年12月07日 15:07 公開

突然発症する劇症1型糖尿病、初めは発熱などの風邪症状

喉の渇きあったら医師に

 糖尿病の中に、ある日突然発症し、治療が遅れると死亡することもある劇症1型糖尿病がある。この病気を発見した大阪大学医学部内分泌・代謝内科の今川彰久講師は「多くは当初、発熱など風邪に似た症状が出ます。これに加えて、喉が渇くようだったら早く医師に伝えてほしい」と警鐘を鳴らす。

ウイルスが関与

 糖尿病には1型と2型があり、うち9割以上を占めるのが生活習慣病といわれる2型だ。これに対し、1型はインスリンを作る膵臓(すいぞう)の「膵島」細胞が破壊されて起こる。今川講師は「1型の8割は、体の免疫機能が誤って膵島細胞を攻撃し、膵島細胞が壊れて起こります」と説明する。

 劇症型は1型のうちの2割ほど。発症にはウイルスが関与しているとみられ、患者からはインフルエンザウイルスなどの感染が確認されている。「ウイルスに感染した膵島を、リンパ球などの免疫担当細胞が攻撃すると考えられています」(今川講師)

 劇症1型の患者数は国内で推定5,000~2万人。30~50歳代に多く、男女差はない。

 発症直後には、7割に発熱や喉の痛みなど風邪に似た症状が見られ、上腹部痛や吐き気が起こる人もいる。続いて糖尿病特有の喉の渇きや多尿も起こる。さらに、血液中にケトン体という脂肪の燃えかすが増え、だるいとかつらいといった症状が表れ、昏睡(こんすい)状態に陥ることもある。

強く出るだるさ

 「症状として強く出てくるのが、だるいとか、つらいということです。ただ、これを医師に訴えても糖尿病とは気付いてもらえず、なかなか診断が付かないケースもあるようです」(今川講師)

 診断では、(1)血糖値が血液1デシリットル当たり288ミリグラム以上、(2)尿か血液にケトン体が出ている―に加えて、ヘモグロビンA1c(HbA1c)が8.5%未満であることを確認する。

 治療では、脱水症状を改善するための生理食塩水の注入や、インスリンの点滴注射が行われる。大抵はこうした措置で回復するが、危険水域を脱してもインスリンを作れない状態は続くため、1日に少なくとも4回のインスリン自己注射が必要になる。ポンプを使った持続皮下インスリン注射療法が行われることもある。

 今川講師は「劇症1型糖尿病の場合は一刻も早い対応が必要です」と呼び掛けている

2008年12月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)