2011年12月07日 15:07 公開

「死にたい」と相談されたら?―自殺を防ぐ方法

治療と周囲の協力が必須

 自殺者の9割以上が、遂行の直前にうつ病や統合失調症など何らかの精神疾患を持っていることが調査によって判明している。だが、実際は思い悩んでいることを隠す人が多いため、周囲の人が変調に気付かないケースも少なくないという。爽風会佐々木病院(千葉県)の斎藤環診療部長は「本人がSOSを発信する、あるいは身近な人が異常に気付くことができれば、治療や周囲のサポートによって自殺を遂行する可能性を確実に減らせます」と話す。では、家族や友人に「死にたい」と相談されたとき、どうやって対処すればよいのか。

理由をよく聞き、説得しない

 本人が「死にたい」と言ったり、家族や友人に相談したりする場合は、なぜ死にたいのかを詳しく聞くことが大前提となる。気を付けたいのは、決して説得や議論はしないということだ。斎藤部長は「理屈は心に響かないので一切効き目がなく、議論はどうしても双方に攻撃性が生じてしまいます」と説明する。抱えている思いをすべて吐き出させた上で、「死なないでほしい」と伝える。説得せず、ひたすら感情に訴えて言い続けることが重要だ。理由を聞かれても「生きていてほしいのは当然でしょう」など、理詰めで答えない方がよいという。

 治療は最終手段として取っておく。コミュニケーションを十分に取らないまま、すぐに「病院に行こう」と言えば、冷たい対応と思われる恐れがあるためだ。

 救いを求めるサインは、言葉だけではない。リストカットやOD(over dose=大量服薬)などによる自殺未遂は、当人が無意識に周囲に発するSOSだという。家出や失踪も警戒を要する行為だ。特にそれまで予兆のなかった人の場合は、危険度が高い。

 斎藤部長は「自殺未遂や家出、失踪(しっそう)といった行動は完全に治療対象のレベル」として、自己判断で対処せずに、専門家に任せるよう説いている。

"死にたい気持ち"に触れてもOK

 自殺者の多数を占める中高年の男性は、経済的な問題や社会的地位を失うといった理由で死を選ぶ人が大半だという。こうした明確な原因がある場合は、治療と並行して現実的な解決策を考えていくことが必要だ。

 中高年の男性は、悩みを1人で抱えて孤立する傾向があるため、周りの人には苦しんでいることが分かりづらい。様子がおかしいと感じたら、日常の会話で家族や友人としてのつながりをより強固にするとともに、「よく眠れているか」など生理的な面も注意して見守りたい。愚痴を聞く、どこかへ遊びに行くなど"ガス抜き"を促すことも予防法の1つだ。

 また、一般的に"死にたい気持ち"に触れることはタブーと思われがちだが、「本人は言いたくても言えない場合もあるので、ストレートに聞いて構いません」(斎藤部長)とのこと。様子がおかしい人に「死にたくなったことがある?」などの質問をすることは、口火を切る意味も含め、かえって相手が話しやすくなる状況を生むこともあるという。

 いずれの場合も、まず信頼関係を築くことが肝要と認識し、焦らずに対応したい。

(編集部)

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