2011年12月16日 08:39 公開

犬にかまれたら...小さな傷でも必ず受診を!

感染症予防には専門の治療が必要

 ペットとして圧倒的な人気を保ち続ける犬。しかし、犬にかまれる事故が後を絶たない。療心舎クリニック(東京都)の永谷信之院長は「犬にかまれてできた傷には、感染症の原因となる細菌がいる可能性があります。家庭では除去しきれないので、傷が軽くても必ず病院に行くようにしてください」と、傷の程度にかかわらず、病院で治療を受けるよう呼び掛けている。

自己処理ではとにかく水で洗浄

 犬にかまれたら、まず傷口を水できれいに洗い流すことが鉄則だ。出血がひどい場合は、傷口より上の個所をタオルなどで縛り、止血してから洗浄する。市販の消毒薬を使用しても問題ないが、水と効果は変わらない。ただし、傷口を固めるタイプのものは、治療の妨げとなるという。洗浄した後は、清潔なタオルなどで傷口を押さえて病院へ。かまれてからなるべく早いうちに受診することも重要だ。

 治療は、組織の損傷と感染症への対応が中心となる。かまれた傷の程度にもよるが、損傷は皮膚から皮下組織に至り、血管や神経、筋肉の組織にまで及ぶケースもある。重症の場合は手術が必要だ。

 また、力の強い大型犬だと、指などを食いちぎられることもある。犬が飲み込まずに組織が残っていれば、どんなに小さくても回収し、きれいに洗って氷浸けにする。事故から6時間以内であれば、欠損した組織を縫合する手術が可能だ。「動転してしまう人が多いのですが、冷静に対応すれば損傷の程度を最小限にとどめることができます」(永谷院長)。欠損したからといってあきらめず、初めの適切な処理によって、元に近い状態に戻せる可能性があることを覚えておきたい。

傷が小さくても感染症の恐れ

 犬にかまれた傷口は、小さくても深い場合が多い。傷口は閉じても中で細菌が繁殖すると、化膿(かのう)して赤くなったり、内出血で腫れたりする。発熱も感染の徴候の1つだ。診察では、まず血液検査をする場合もあるが、しばらくたってから体に抗体ができて感染症が分かることもあるため、かまれた部分の細胞を取って細菌を調べる培養検査も行う。

 感染症は狂犬病、破傷風、ブドウ球菌、パスツレラ菌などによるものが懸念される。ただ、狂犬病は日本では50年以上発生しておらず、まず心配はないと言える。

 破傷風は3日から3週間の潜伏期間があるものの、発症するまでの間、感染巣自体が膿(うみ)を持つなどの症状を出すようになるため、局所的な症状が出たら注意が必要だ。感染した場合、神経障害で口が開けにくくなることから始まり、次第に顎の硬直、呼吸困難などの症状が現れるので、感染した場合にはトキソイドノをする場合もある。破傷風やブドウ球菌、大腸菌などの感染症は、抗生物質を使って治療し、症状が重い場合は点滴を用いる。パスツレラ菌は感染すると筋肉の中で増え蜂窩織炎(ほうかしきえん)を起こしたり、敗血という重篤な状態になったりすることもあるので注意が必要だ。

 永谷院長は「日本では破傷風の予防接種を義務付けているので、感染する可能性は低いと言えます。しかし、免疫の落ちている人や高齢者は注意が必要です」と、万が一の可能性も指摘している。

(編集部)

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国立感染症研究所 感染症情報センターより

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