2011年12月16日 12:01 公開

口腔カンジダ症って何?

口腔カンジダ症とはどのような症状がある病気でしょうか?

(30代 男性)

舌や口腔粘膜に白いコケが付着する、赤くなる、ひりひりする、などの症状が出る病気です。

口腔カンジダ症にはいろいろな症状があります。

1.白いカンジダ症

a.偽膜性カンジダ症【図1】

 お口の中に白いコケやヨーグルトの澱(おり)のような白いものが付着しています。小児、老人、HIV(エイズウイルス)感染症、糖尿病、腎不全の患者さんや、がんの放射線治療や化学療法で抵抗力(免疫・感染防御機能)が低下したときに生じます(日和見感染)。喘息(ぜんそく)などでステロイド薬を使っている場合も注意が必要です。抗生物質を長く服用しても生じます(菌交代現象)【文献1】。

gh1.png

【図1】偽膜性カンジダ症

間質性肺炎にてステロイド吸入をしていたところ口蓋(こうがい)から咽頭にかけて容易に擦過除去できる偽膜性の白苔が認められた。ぬぐい液の検査にてカンジダが検出された。

2.赤いカンジダ症

.紅斑性口腔カンジダ症【図2】

 口腔粘膜が赤くなり、ヒリヒリとした灼熱感や痛みが生じます。お口の粘膜は毛細血管が多く赤いため見過ごされて、口腔心身症(舌痛症=ぜっつうしょう)と診断されて向精神薬が処方されたり、口内炎と診断されてステロイドホルモン軟膏が処方されたりして治にくくなっていることが多い疾患です【文献2,3】。

gh2.png

【図2】紅斑性口腔カンジダ症
お口のヒリヒリ感を訴えて受診した患者さんの口腔内写真。
口蓋部に発赤が認められ、同部のぬぐい液からカンジダが検出された。

b.正中ひし形舌炎【図3】

 舌背(ぜっぱい)中央部にひし形の赤い病変が認められることがあり、従来は発生期の奇形とされてきましたが、近年、カンジダ菌との関連が指摘され、抗真菌薬(こうしんきんやく)で治るとされています。

gh3.png

【図3】正中ひし形舌炎
舌背部の発赤が認められ、同部のぬぐい液からカンジダが検出された。

c.義歯性口腔カンジダ症【図4】

 義歯の手入れを怠っていると、義歯に付着したカンジダが原因で生じます。義歯の調整だけでは治らない疾患です。

gh4.png

【図4】義歯性カンジダ症
義歯性カンジダ症の口腔内写真。義歯と接する粘膜に発赤が認められた。

d.口角炎、剥離性(はくりせい)口唇炎【図5】

 落屑(らくせつ=皮膚が角質となり剝げ落ちること)を伴った口角炎や口唇炎もカンジダ性であることが多く、ステロイドホルモン軟膏が効かずに難治性とされることが多い疾患ですが、抗真菌薬で劇的に治ります。

gh5.png

【図5】口角炎、剥離性口唇炎
剥離性の口唇炎と左口角炎が認められた。落屑の培養にてカンジダが検出された。口唇炎と口角炎に20年間悩ませられていたが抗真菌薬で解消した。

e.カンジダ性口腔潰瘍(かいよう)【図6】

 ステロイドホルモン軟膏が効かない口腔粘膜潰瘍はカンジダが原因であることが多いのでカンジダ検査を行い、抗真菌薬で治療します。しかし、舌がんや悪性化しやすい紅板症(こうばんしょう)との鑑別診断が重要なことは言うまでもありません。

gh6.png gh7.png

【図6】カンジダ性口腔潰瘍
(a)咬傷により生じたびらん部にステロイドホルモンの軟膏を塗布したところ一時的に
軽快したが、連用により潰瘍が生じカンジダが検出された。
(b)ステロイドホルモン軟膏塗布を中止し抗真菌薬で治療したところ、潰瘍は消退し再発は認められない。

3. 厚くなるカンジダ症

a.肥厚性口腔カンジダ症、カンジダ性白板【図7】

 口腔粘膜が厚く硬くなる疾患で腫瘤を形成したり、白板を形成したりします。口唇から内側の頬粘膜や舌背部に好発し、白斑(はくはん)を伴うことがあります。血中に移行しやすいイトリゾール内用液®が良く効き、切除せずに治癒することもあります【文献3-5】

gh8.png gh9.png

【図7】肥厚性口腔カンジダ症
(a)右頬粘膜に白苔(はくたい)を伴う腫瘤(しゅりゅう)形成が認められた。
(b)生検にてカンジダ症と診断され、イトリゾール内用液®内服により腫瘤は消退した。

【文 献】

  1. 杉原一正:ヒト免疫不全ウィルス患者の口腔所見について. 口科誌989; 38(3): 663-667.
  2. 寺井陽彦, 島原政司:古くて新しい真菌症-続・赤いカンジダ症-. 日本歯科評論2007; 67: 137-145.
  3. 上川善昭:口腔ケアに必要な口腔カンジダ症の基礎知識-診断・治療と口腔ケアによる口腔カンジダ症の予防-. 口腔ケア学会雑誌2010; 4(1): 17-23.
  4. 上川善昭, 他:口腔カンジダ症アトラス. Therapeutic research 2007; 28(8): 161-76.
  5. 上川善昭, 永山知宏, 金川昭啓, 杉原一正:<総説>口腔カンジダ, 口腔感染症のUpdate.季刊歯科医療2010; 24(4): 24-30.

関連トピックス