2012年01月06日 16:07 公開

立って歩けない目まい、働き盛りに多い前庭神経炎

経過は良好、神経質にならないで

 突然、立っていられないほどの目まいに襲われる前庭神経炎。かかった人はほとんどの場合、救急車で搬送されるが、「その後の病状の経過は悪くなく、過度に神経質にならないで」と、東京医科大学耳鼻咽喉(いんこう)科学教室の小川恭生講師はアドバイスしている。

難聴や耳鳴りはない

 前庭神経炎は、平衡感覚の情報を伝える前庭神経が何らかの原因で炎症を起こし、嘔吐(おうと)を伴う急性の激しい回転性の目まいに襲われる病気。「目まいを主な症状として救急車で運ばれてくるケースで、最も多いのがこの病気です。メニエール病などと違って難聴や耳鳴りはないものの、立って歩けないほどの目まいがするのが特徴的な症状です」(小川講師)

 診断は、内耳道に冷たい水を流し入れて前庭神経の反応を診る温度刺激検査で付く。ただ、目まいが激しいので、治療には入院が必要になる。

後遺症も再発もない

 治療には、安静にして嘔吐を止める制吐薬や抗不安薬、目まいを抑える薬などが用いられる。「目まいは1週間ほど続きますが、徐々に治まって歩行できるようになります。目まいが落ち着くと積極的に歩くなど体を動かした方が回復は早いのです」(小川講師)

 ひどい目まいを経験すると、起立したり歩いたりすることに臆病(おくびょう)になりがちだが、それでは逆に回復が遅れる。

 小川講師は「後遺症が残るなどの危険な目まいではなく、再発もありません。働き盛りの年代に多い病気ですが、通常は1カ月ほどで社会復帰しています」と指摘する。

2008年12月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)