2012年01月20日 12:01 公開

口腔カンジタ症の原因は?

口腔カンジタ症になる原因は何ですか?

(40代 男性)

お口の中でカンジダが増えること、抵抗力(免疫力)の低下が主な原因です。

 カンジダは普段は悪さをしない弱毒菌ですが、数が増えるとヒトに害を与えます。今から40年以上前に、Candida Krauseは自らカンジダ培養液を大量に飲んで、体内にカンジダが増えるとカンジダ症になることを証明しました【文献1】。

お口の微生物バランス(口腔常在菌叢=こうくうじょうざいきんそう)の異常でカンジダが増える(菌交代現象)ことにより、口腔カンジダ症になります。

 カンジダは常に空中を浮遊しているので、【表1】のように健常者の23.5%からも検出されています【文献2】。カンジダが検出されても、口腔カンジダ症ではありません。それは、お口の中には他の微生物(口腔常在細菌)がいて、カンジダが一定の割合から増えるのを妨げているからです【文献3】。

 【表2】に示すように、抗生物質を使用するとお口の中のカンジダが増えています【文献4】。抗生物質により体の各部の常在細菌は減少しますが、カンジダには抗生物質が効かなく増える(菌交代現象)のでカンジダ症になります。

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【表1】舌からのカンジダ分離数

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【表2】抗生物質投与前後のカンジダ検出率

抵抗力(免疫能)が低下すると、口腔カンジダが増殖する。

 【表1】に示すように、病気やステロイドホルモン投与により免疫機能が低下した患者さんでは、健常者に比べてカンジダの分離数が増加しています【文献2】。免疫力が低下して弱毒菌が増えて悪さをすることを日和見感染(ひよりみかんせん)と言いますが、口腔カンジダ症も日和見感染で起こります【文献3】。

唾液が減少すると抵抗力が低下します。

 唾液には抗菌酵素が含まれ、多量に分泌されてお口の中を洗い流す自浄作用、潤滑作用や酸性度を一定に保つ緩衝作用(かんしょうさよう)があり、お口を守っています。病気やお薬の副作用などで唾液が少なくなると、お口の抵抗力が減少したり、酸性になったりしてカンジダが増え口腔カンジダ症になります【文献5, 6】。

義歯の清掃を怠ると、口腔カンジダ症になります。

 義歯の材料(レジン)にはカンジダが付着しやすい性質があり、義歯を装着すると義歯と粘膜の間には唾液が流れにくいのでカンジダが増えます【文献7, 8】。義歯が強く当たって粘膜が傷つくとカンジダが付着しやすくなり、口腔カンジダ症になります。カンジダに効力があると明記された義歯洗浄剤を使用しましょう。

過度の清潔は微生物のバランスを壊して口腔カンジダ症になります。

 ヨード、アルコールなどの消毒薬や、クロラムフェニコール(chloramphenicol; CP)などの抗生物質を含んだうがい液を長期間使用すると、お口の微生物のバランス(口腔細菌叢)が崩れてしまい口腔カンジダ症になります【文献5】。抜歯や手術の後には消毒が必要ですが、普段のうがいはお茶やお水で十分です。

【文 献】

  1. Krause W, et al: Fungemia and funguria after oral administration of Candida albicans. Lancet 1969; 1; 598-599.
  2. 加藤卓朗, 他: 直接検鏡陰性の舌からのCandida albicansの分離. 日本医真菌学会誌1995; 36; 145-48.
  3. 山口英世: 病原性真菌と真菌症, 改訂4版. 南山堂, 2007.
    4) 水野重光: 産婦人科領域におけるカンジダについて. 臨床病理1954; 2: 219-221.
  4. 上川善昭:口腔ケアに必要な口腔カンジダ症の基礎知識-診断・治療と口腔ケアによる口腔カンジダ症の予防. 口腔ケア学会雑誌2010;  4(1): 17-23.
  5. 上川善昭, 他: <総説>口腔カンジダ症, 口腔感染症のUpdate. 季刊歯科医療2010; 24(4); 24-30.
  6. 二川浩樹, 他: 口腔カンジダの付着およびバイオフィルム形成. 日本医真菌学会雑誌2005;    46: 233-242.
  7. 川崎清嗣, 他: 有床義歯使用者の口腔カンジダ菌種に関する研究. 口腔ケア学会雑誌2009;  3(1): 44-47.

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