2012年01月31日 11:31 公開

口の中のHPV感染率は男性の方が高い、全米健康栄養調査

 子宮頸(けい)がんの原因として、近年注目されているヒトパピローマウイルス(HPV)。日本でもHPVワクチンの普及が進んでいるが、米オハイオ州立大学総合がんセンターのMaura L. Gillison氏らは、同国の一般人口を対象とした研究(全米健康栄養調査)から、口の中のヒトパピローマウイルス(HPV)の感染率が女性より男性で多かったと、1月26日付の米医学誌「JAMA」(電子版)に発表した。HPVは子宮頸がんや男性の陰部疣贅(ゆうぜい=いぼ)のほか、口腔(こうくう)・咽頭(いんとう)がんの原因ともいわれている。

感染のピークは30歳代前半と60歳代前半

 検討は、全米健康栄養調査2009~2010に参加した14~69歳の男女5,579人に洗口液でうがいをしてもらい、検体の採取を行った。

 調査の結果、HPV感染率は6.9%で、子宮頸がん発症に対する危険性が高いとされるウイルスの型のうち最も多く検出されたのが16型、感染率は1.0%だった。Gillison氏らによると、16型はHPV陽性の口腔・咽頭がん症例の90%に関連するとの報告もあるという。

 年齢層別に見た感染のピークは30~34歳(7.3%、95%CI 4.6~11.4%)、60~64歳(11.4%、同8.5~15.1%)の二峰性を示していた。全体のHPV感染率は、女性より男性で2.8倍高かった。

 HPV感染は何らかの性交渉歴がない人に比べ、ある人で8.69倍高く、パートナーの人数または1日当たりの喫煙本数が増えるに従って高まっていた。

 さらに詳細な分析から、年齢、性、パートナーの人数、現在の1日当たりの喫煙本数がそれぞれ、口腔内HPV感染と関連していることが分かった。

 Gillison氏らは、今回の研究結果から、口腔内HPVの感染は性交渉を通じて広まっていると考察。また、子宮頸がんにおけるHPVの役割の解明や対策が進んできたのと同様に、口腔内のHPV感染でも年齢や性、修正可能な危険因子の関与があるかどうか、検討が必要だと述べている。

8年で口腔・咽頭がん数が子宮頸がん超える見通し

 Gillison氏らによると、米国では2020年にHPV陽性の口腔・咽頭がんと診断される患者の数が、子宮頸がんの患者数を超えるとの予測もあるようだ。今回の論文や付随論評では、今後、HPVワクチンを含む口腔・咽頭がん対策が必要と提言されている。

 昨年10月、米国では若年男性に対しても、陰部疣贅や女性への感染予防を目的としたHPVワクチン接種が推奨された(関連記事)。また、現在、Merck社が新たに8価のHPVワクチンに関する第Ⅲ相の治験(子宮頸がん、外陰部がん、腟=ちつ=がん、男性の陰部疣贅)を実施している(ClinicalTrials.gov Identifier NCT00543543)。

(編集部)

関連トピックス

関連リンク(外部サイト)