2012年02月14日 10:08 公開

女性のピル服用で男性の前立腺がんリスクが増加

カナダ研究

 1998年に避妊、2010年に月経困難症の治療に対して低用量が認可されて以来、日本でも一般的になった経口避妊薬(ピル)。高い避妊効果が得られる一方、副作用の報告も少なくないが、これまでは服用している女性に限ったことが多かった。ところが、カナダ・トロント大学プリンセス・マーガレット病院のDavid Margel氏らは、女性の経口避妊薬の使用が、男性の前立腺がんリスクを増加させるという研究結果を、英医学誌「BMJ Open」(電子版)に発表した。

他の避妊法は関連せず

 前立腺がんは、先進国の男性で発生率が最も高いがん。一方、経口避妊薬の使用は過去40年間で激増している。

 Margel氏らは、国際がん研究機関(IARC)のデータと国連の報告書を基に、2007年の前立腺がん発症率および前立腺がんによる死亡率、一般的な避妊法で避妊している女性の割合を算出し、国・大陸別にデータを分析して2つの関連を調べた。

 その結果、子宮内避妊器具(IUD)、コンドームなどの避妊具は、前立腺がんリスクの上昇と関連しなかったが、各国の人口全体の経口避妊薬の使用は、新たな前立腺がん患者数および前立腺がんによる死亡数と関連していた。この関連性は各国の経済状況とは無関係だった。

 ただし、今回の研究では因果関係は検証されておらず、確定的な結論は得られていない。同氏らは「今回の生態学的研究の結果は推測の域を出ず、さらなる検討を要する」としている。

経口避妊薬が環境ホルモンに

 経口避妊薬には合成女性ホルモンが含まれているが、最近の複数の研究で女性ホルモンの1種であるエストロゲンへの暴露が前立腺がんリスクを上昇させることが示唆されている一方、両者に関連はないとする報告もある。また、エストロゲンへの過剰な暴露はがんの原因となることが知られている。

 エストロゲンへの暴露は薬剤の服用によるものだけではなく、経口避妊薬を服用している女性の尿として排せつされたエストロゲンが河川などに流れ、環境ホルモン(内分泌かく乱物質)として飲用水や食物連鎖に入り込み、他の人にさらされることも考えられる。経口避妊薬の普及は、環境ホルモンの値を上昇させる可能性があるという。

 多くの先進国では前立腺などホルモン感受性組織のがんが増加傾向にあるが、環境ホルモンによる悪影響の一端ではないかと指摘されている。

(編集部)

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