2012年02月21日 09:59 公開

女性に多い腎盂腎炎―増加の背景に温水洗浄便座

頻尿や排尿痛、残尿感など膀胱炎の症状に注意

 尿は腎臓の腎実質というところで作られ、まず腎盂(じんう)という部分に集まる。その腎実質と腎盂に細菌が感染し、炎症が起こる病気が腎盂腎炎だ。近年は特別な病気を持っていない場合の単純性腎盂腎炎が増加傾向にあるが、その背景に洗浄式便座の普及があるという。昭和大学藤が丘病院(神奈川県)泌尿器科の佐々木春明准教授に聞いた。

放置で敗血症の恐れも

 腎盂腎炎を起こす細菌はほとんどが大腸菌。大腸菌は尿の出口から入り込み、尿道を通って膀胱(ぼうこう)に、さらに尿管をさかのぼって腎臓に、という経路で感染していく。

 腎盂腎炎になるのはほとんどが女性だ。女性の体は尿の出口が肛門に近く、尿道が短いという特徴があり、細菌に感染しやすいからだ。

 腎盂腎炎を治療しないと細菌が血液中に出て全身を巡る敗血症に陥り、生命に関わる事態となる恐れもある。

 腎盂腎炎になった人は、その前に膀胱炎を起こしていることが多いので、頻尿、排尿痛、残尿感といった膀胱炎の症状が数日間続くことが多い。

 さらに39~40度くらいの高熱が出る。熱は午前中低く、午後から夕方にかけて高くなるという特徴がある。また腎臓が腫れてくるために腰痛が起こり、こぶしでたたいたりすると強く痛む。感染は左右にある腎臓のどちらかに起こるので片側が痛む。

 こうした症状があれば腎盂腎炎とほぼ診断できるが、尿検査と血液検査を行って確定する。

前から後にふいて

 治療は、高熱により脱水になりがちなので、入院して抗生物質の注入と水分の補給のため、朝夕1回ずつ3日間点滴する。さらに入院したまま抗生物質を2日間内服する。これが基本になる。

 佐々木准教授は「以前少なかった中高年の女性に、単純性腎盂腎炎が増えています。その背景には温水洗浄便座の普及があると考えられます。洗浄式は水流が後から前に噴出しているので、必ずしも清潔ではありません。腎盂腎炎や膀胱炎の予防には、昔からいわれているように前から後にふくのがよいのです」と注意している。

2010年12月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)