2012年03月05日 09:49 公開

上顎が膨らむ口蓋隆起―義歯や発音、歯磨きに影響も

歯ぎしりや遺伝が要因

 上顎の真ん中あたりが膨らんでくる口蓋隆起は、症状がなく進行するので、大きくなるまで気付かないことが多い。放っておいても心配はないが、まれにがんの発見につながることがある。京都第二赤十字病院歯科・口腔(こうくう)外科の猪田浩理部長は、早期の受診を促している。

不自由あれば切除

 口蓋隆起は上顎の中央部あたりの骨が部分的に盛り上がる症状で、骨が異常増殖する外骨症の一つ。聞き慣れない病名だが、口腔外科では決して少なくない。原因は分かっていないものの、歯ぎしりや遺伝的要因などが指摘されている。「自覚症状がないまま少しずつ大きくなるので、ある日突然気付いて驚く人が多いようです。ただ、骨が部分的に膨らんだだけなので、しばらくは経過を観察します」と猪田部長。

 手術で切除する場合もあるが、「義歯を作る際に邪魔になる、大きく膨らんで発音に障害が出る、歯磨きがしにくくなり口中の衛生が維持しにくいなど、患者さんと医師の双方が十分に納得できる場合にだけ行います」という。

大きければ全身麻酔

 手術は隆起が小さければ局所麻酔だが、大きい場合は全身麻酔となる。口腔は血管が多く集まるため出血が多く、慎重を期するためだ。また全身麻酔は、骨を削り取る際の音や振動に対する精神的な負担を解消できる。切除後の炎症が治まるまで1週間程度は入院することになる。

 口蓋隆起そのものは大事に至る病気ではないが、口腔がん、唾液腺の炎症、多形性腺腫なども症状として上顎が膨らんでくるケースがある。「歯ブラシの当たり具合がいつもと違う、物を食べたとき舌に何か触るようだなど、何となくいつもと違うと感じたら、迷わず歯科か口腔外科を受診してください。他の疾患の早期発見にもつながります」と猪田部長は話している。

2011年1月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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