2012年03月12日 10:08 公開

専門職・管理職の男性、死亡率が5年で7割増―北里大

 北里大学公衆衛生学の和田耕治氏らは、30~59歳の日本人男性を対象とした研究の結果を3月6日付の英医学誌「BMJ」(2012; 344: e1191)に報告。1990年代後半に起きたバブル崩壊以降、雇用形態の変化に伴って健康状態の悪化や自殺者の増加などが指摘されている。同氏らは、その詳しい要因を探るため職種別の死因との関連などを検討した。その結果、専門職および管理職の死亡率は、1990年の後半から2000年にかけてそれぞれ約70%増加していたことが分かった。その他の職種の男性の死亡率は徐々に減少していたという。

管理職の自殺は25年で271%増

 バブル崩壊以降、日本では景気低迷が続き、失業率の上昇や正規雇用の減少が問題になっている。和田氏らは、女性の平均寿命は世界トップレベルである一方、男性の平均寿命は最近悪化の一途をたどっていると指摘。男性の自殺率が1998年に過去最悪となったことに象徴されるように、この背景には雇用状況の急速な変化が関連しているのではないかとして検討を行った。

 日本の政府統計システムを利用し、30~59歳男性の死因および死亡前に就いていた職業別のデータなどを1980から2005年まで縦断的に解析した。職種は専門職、管理職、事務職、営業職、農林水産業従事者など計10種類に分類された。

 管理職および専門職を除くすべての職種で、全死因の年齢調整死亡率およびこれに含まれる4大死因(がん、心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳卒中、不慮の事故)は1980~2005年に漸減していた。一方、専門職および管理職の同死亡率は、1990年後半から2000年にかけてそれぞれ約70%増加していた。

 さらに自殺率は1995年以降、職種を問わず上昇傾向が見られ、特に管理職における増加が著しく(1980年から2005年の増加率271%)、専門職での自殺率増加も大きかった。

 なお、1995年以前は管理職・専門職の主要な死因別の死亡率比は他の職種に比べ有意に低かった。しかし、2000年以降はこの傾向が逆転していた()という。

この20年で男性の管理職人口半減

 和田氏らが別に示したデータでは、1980~2005年に30~59歳の日本人男性の人口はほぼ2,500万人前後で推移している。しかし、職種別の人口構成を見ると、専門職は1980年の7.4%から2005年には12.6%に増加。一方、管理職は8.2%だったのが3.2%と半分以下に減少していたという。

 今回の検討から同氏らは、1990年代後半から続く景気低迷に伴う雇用形態の悪化が職業別の死因に劇的な影響を与えていたと結論。特に管理職や専門職に従事する人への悪影響は他の職種に比べ明らかだと指摘した。また、政策立案者や医療関係者はこの問題の重大性を認識すべきと提言している。

(編集部)

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