2012年03月22日 20:00 公開

子供の鼠径ヘルニア―脚の付け根辺りが膨れる

放置せず手術を

 脚の付け根が膨れる鼠径(そけい)ヘルニア。子供では、30~40人に1人の割合で見られる病気だ。押せば膨らみが引っ込んでしまうからといって放っておくと、元に戻らなくなることもある。北里大学医学部(神奈川県)外科の田中潔講師は、気付いたら早めに小児外科で診察を受けるよう呼び掛けている。

内臓の一部が飛び出す

 胎児が成長する過程で、男児では精巣が陰嚢(いんのう)の中まで下りてくる段階がある。この時、内臓を覆っている腹膜の一部も下に伸びてきて、腹膜蛸状(しょうじょう)突起と呼ばれるポケット状の袋ができる。女児にも腹膜蛸状突起はできるが、通常男女とも出生前に閉じて消える。

 ただ「この袋が生後も残っていることがあり、袋の中に内臓の一部が飛び出したのが鼠径ヘルニアです。多くの場合、腸が飛び出すので脱腸とも呼びますが、女児は卵巣や卵管が出てくることもあります」と田中講師。

 入浴やおむつを替えるときに、子供の股や陰嚢(いんのう)が膨れていることで保護者が気付くことが多い。「触ると軟らかく、指で押すと、膨らみが小さくなったり、おなかの中に戻ったりします」(同講師)

悪化して腸が腐ることも

 押して戻る段階であれば痛みもなく、1歳未満なら自然治癒することもある。しかし、放っておくのはよくないという。飛び出した腸がむくんで、おなかに戻らなくなる嵌頓(かんとん)ヘルニアになる可能性があるからだ。嵌頓になると、膨らみは大きく硬くなり、激しく痛む。飲食ができなくなり、嘔吐(おうと)も起きる。そのまま放置すると、腸は腐って精巣や卵巣にも障害が及ぶ。

 嵌頓ヘルニアは1歳になる前の乳児に起きやすい。田中講師は「鼠径ヘルニアと診断されたら、早めに手術を受けた方がよいでしょう。手術時間は20~30分、入院も長くても2泊3日で、メスを2センチほど入れるが、傷跡もほとんど残りません。腹腔(ふっくう)鏡を使った手術もあります」と説明する。

 手術は、経験豊富な小児外科医から受けた方がよい。日本小児外科学会の公式サイトでは、そうした全国の専門医や認定医療機関を紹介している。

(編集部)

2008年4月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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