2012年04月02日 16:18 公開

進歩した慢性骨髄性白血病の治療、内服薬で5年生存率90%

慢性期のうちに発見を

 「不治の病」というイメージの強かった慢性骨髄性白血病の治療成績が、ここ数年で飛躍的に上がってきた。イマチニブという内服薬が開発され、5年生存率は約90%に達している。社会生活を送りながら治療できるため、患者の負担も軽減されている。

造血細胞ががん化

 血液のがんである慢性骨髄性白血病について、東京慈恵会医科大学付属病院腫瘍・血液内科の薄井紀子准教授は「骨髄の造血細胞ががん化するのですが、細胞内にフィラデルフィア染色体という染色体異常が表れてくるのが特徴です」と説明する。

 発症後は、5~6年間の慢性期、9カ月ほどの移行期を経て、急性転化期へと移行する。「急性転化期になると、生命に関わります。このため、慢性期のうちに発見して適切な治療を受けることが大切です」(同准教授)

 ただし、初期にはほとんど症状がない。進行に伴って全身の倦怠(けんたい)感、微熱、体重減少といった症状が表れるが、健康診断で発見されるケースが多い。

1日1回服用で副作用少ない

 患者は幅広い年齢層で見られるが、多いのはがん年齢といわれる50~60歳代。「慢性期のうちに発見するためには、50歳を過ぎたら年1回は定期健診を受けた方がよいでしょう。血液検査で診断できます」(薄井准教授)

 以前は、主にインターフェロン療法と骨髄移植による治療だったが、イマチニブが登場してからは、原則としてこの服用が行われるようになった。イマチニブは、がん化した血液細胞だけを集中攻撃し、副作用が少ないのが特徴。しかも、毎日朝食後に1回服用するだけでよい。

 服用1年間で患者の約96%は血液が正常な状態に戻り、70%ほどの人は骨髄の中のフィラデルフィア染色体が消えていた。さらに、5年後には、フィラデルフィア染色体が消失した患者は約87%に達した。「5年生存率は約90%。万能ではありませんが、極めて有用な薬だといえます」(同准教授)。ただし、妊娠中は胎児への影響があるため、服用は禁じられている。

(編集部)

2008年4月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)