2012年04月10日 17:00 公開

黒色と白色の虫歯、どう違うの?

<専門家へきいてみよう 「質問する」より> 

〔症例〕 10代 女性
〔症状〕 虫歯は黒色と思っていましたが、白色の虫歯もあると聞きました。歯を見てみるといくつかあるようです。治療は必要でしょうか?

「黒い虫歯」は色素が取り込まれた時、「白い虫歯」は歯が溶けた時にできます。

 一般的に「黒い虫歯」はよく知られて言いますが、「白い虫歯」もあります。歯は、細菌が作り出す酸によって溶けても黒くなりません。

白い虫歯

 初期の虫歯では、歯の表面の透明感がなくなると濁った白い色になります。専門的には白濁(はくだく)や白斑(はくはん)、英語では「ホワイトスポット 」と言います【図1】。

【図1】白いむし歯(初期のむし歯)

 中期の虫歯では、象牙質まで進行しても、黒くならないことがあります。これは進行の速い虫歯に多く見られます。細菌は、活動が活発なときに酸を作り続ける傾向があります。脱灰(だっかい=歯の表面が溶け出すこと)が継続的に起きても、再石灰化(溶けた歯の表面を修復する作用)が起こる時間がないときは、歯は溶け出し続け、歯に黒い色の元となる物質は取り込まれません。一般的には、このような象牙質のむし歯では、かなり深くまで軟らかくなって言います【図2】。

  
【図2】歯と歯の間の虫歯(象牙質のむし歯)
 白い虫歯なので見つけにくい(左)。削ると象牙質まで進行した虫歯が現れる(右)。

黒い虫歯

 虫歯がある部分にはさまざまな種類の細菌が生息しています。虫歯菌以外に黒い色素を作り出す細菌もあります。虫歯菌は酸を作り出し、歯を溶かしながら虫歯を進行させますが、通常は虫歯がある部分でも酸が作られないこともあり、溶けた歯にカルシウムやリンが取り込まれる再石灰化という現象が起きています。多くの虫歯は脱灰と再石灰化を繰り返しながら、徐々に進行していきます。

 この再石灰化が起きるときに黒い色素が取り込まれて、歯に黒い着色が生じると考えられています。さらに、細菌が作る黒い色素以外に、食べ物に含まれる金属イオンなどが取り込まれて黒い着色が生じるとも考えられています。

 かつては、アマルガムという金属の材料で虫歯治療が行われていましたが、この金属の材料から溶け出す金属イオンの影響で歯が黒くなることもありました。子どもの虫歯治療では「フッ素」と「銀の化合物」を塗布することがありますが、このときにもむし歯の部分が黒く変色してきます。つまり、黒い虫歯は、着色の原因となるさまざまな物質が歯に取り込まれてできるもので、一般的にはゆっくり進行する虫歯に多いと言えます【図3】。

 
【図3】黒い虫歯
 黒い虫歯が透けて見える。虫歯の入り口を削ると黒い虫歯が現れる

 虫歯が原因でできた穴に食べかすや汚れが詰まったとき、さまざまな色に見えますが、それらを取り除くと、「黒い虫歯」「白い虫歯」、さらに中間的な「茶色い虫歯」が出てくることがあります。

指導・監修

田上 順次(たがみ じゅんじ)
東京医科歯科大学大学院 う蝕制御学分野 教授

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