2012年04月18日 13:51 公開

歯科のレントゲン撮影と脳腫瘍リスク上昇に関連

米研究

 米エール公衆衛生大学院のElizabeth B. Claus氏らは、歯科でのレントゲン(X=エックス=線)撮影と髄膜腫リスク増加が関連する可能性を、4月10日付の「Cancer」(電子版)に報告した。髄膜腫は脳腫瘍の一種で、比較的良性なことが多いとされている。今回の検討では、年1回以上の歯科レントゲン撮影と髄膜腫リスク上昇の間に有意な関連が見られたという。複数の海外メディアがこの研究成果を報じているほか、関係学会もコメントを発表している。

パノラマレントゲンでは4.9倍の上昇も

 歯科レントゲンは、胸部レントゲンに比べ1回の撮影当たりの被ばく量が少ないものの、照射野に近い脳や甲状腺で一定量の被ばくが起こることが知られている。

 Claus氏らによると、髄膜種の最も重要な環境因子として電離放射線が挙げられており、相対リスクで6~10倍の上昇がこれまで報告されている。しかし、これらの検討は原子爆弾、がん治療などによる放射線被ばくを対象としたものであり、一般の人が受ける低線量の被ばくとの関連を大規模に見た研究はほとんどないという。

 同氏らは米国内の5つの州に住む髄膜腫患者1,433人(20~79歳、2006~11年に診断、髄膜腫群)と年齢、性、居住地域を一致させた1,350人(対照群)を比較した。

 過去に、年1回以上の頻度で一般的な咬翼(こうよく)法のレントゲン撮影を受けていた人の髄膜腫リスクは、年齢を問わず上昇していた(10歳未満から撮影していた人で1.4倍、10~19歳で1.6倍、20~49歳で1.9倍、50歳以上で1.5倍)。

 また、歯全体を1枚で写すパノラマレントゲン撮影を幼少時、あるいは年1回以上の頻度で撮影していた場合にも髄膜腫リスクの上昇が見られ、10歳未満でパノラマレントゲンを撮影していた場合は4.9倍に上昇していた。

 Claus氏らは、一定以上の頻度での歯科レントゲン撮影と髄膜腫リスク上昇との関連が見られたと結論した。ただし、現在の歯科レントゲンは以前よりもさらに被ばく量が軽減されていると述べている。また、歯科レントゲンの撮影状況は医療記録がなく、聞き取り調査での確認だったことなどから、リコールバイアス(患者の記憶による偏り)が否定できないとしている。

「本当に必要なときにだけ撮影を」

 米国がん協会会長のOtis W. Brawley氏は、公式ニュースで「両者の関連を考えるには、より多くのデータが必要だ。それまでは本当に必要とされるときにだけ歯科レントゲンを使用するように、というのが最良のアドバイスだろう」とコメント。米国歯科医師会も、同様のコメントを発表している。

 またClaus氏は、放射線被ばくを過度に恐れて歯科医の受診をやめることのないよう呼び掛けつつ、歯科レントゲンの撮影回数を減らすことができるのか、米国歯科医師会のガイドラインを参照する、あるいはかかりつけ医と相談すべきとの見解を示している。

(編集部)

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