2012年05月16日 14:48 公開

お年寄りの寝たきりを防ぐ! ベッドの横にいすの常備を

歩くなど行動に移りやすい

 介護を必要としているお年寄りは、ちょっとした心配りができなかったばかりに寝たきりになってしまう場合がある。国立国際医療センター戸山病院(東京都)リハビリテーション科の藤谷順子医長は、家庭でできる寝たきりの予防策として、ベッドサイドでのいすの利用を勧める。

生活習慣病を警戒

 藤谷医長は、家庭での介護では、生活習慣病など内科的な病気から寝たきりになるケースも少なくないと指摘する。「寝たきりのきっかけになる疾患としては、脳卒中や大腿(だいたい)骨頸(けい)部骨折が知られています。ただし、こうした疾患で入院するとしっかりリハビリを受け、退院後の生活指導も受けられる場合が多くなっています。しかし、内科的疾患に関しては、退院時には身体機能に関する徹底した指導が少ないので、寝たきりの落とし穴になっているのです」

 こうした内科的ケースでの基本的な寝たきり予防策として挙げるのがいすの利用だ。

 「退院直後で体が弱いと、ベッドに座っているとつらいので、横になった姿勢で見られるようにテレビを置いたりしますが、それでは寝たきりを助長してしまいます。座れるスペースをベッドサイドに確保し、いすを利用するとよいのです」(藤谷医長)

肺炎の予防にも

 その場合でもいすは足の裏が床に着く程度の高さで、背もたれとひじ掛けの付いているものがよいという。

 「足の裏が床に着いていると安定して座れ、立つ、歩くといった次の行動に移りやすいのです。また、背もたれやひじ掛けが付いていると安全な上、座り心地や呼吸が楽になります。起きていれば食べ物などが誤って気管に入って起こる誤嚥(ごえん)性肺炎の予防にもなります」(藤谷医長)

 座れるような状態ができると、新聞や本が読めるほか、編み物などの趣味も続けられるので、楽しみができて精神的なメリットもある。

 「背もたれとひじ掛けのあるいすを見つけるのが難しい場合は、レンタルの車いすを利用するのもよいでしょう。最近は屋内に置いて違和感が少なく、座り心地も追求したコンパクトな車いすが開発されています。月6,000~8,000円ほどのレンタル料ですが、要介護認定1以上の場合は利用者の負担は10%で済みます」

 ただし座ったままでいると脚がむくみやすいので、時々足首を回したり、立って歩いたりして血流を良くした方がよい。

(編集部)

2008年7月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)