2012年05月29日 10:08 公開

カルシウムサプリで心筋梗塞リスク2倍―独研究

 ドイツ・がん研究センターのKuanrong Li氏らは、欧州の疫学研究(EPIC)の中の、ドイツ・ハイデルベルクの登録者群を分析し、カルシウムサプリメントの使用は心筋梗塞リスクを約2倍に上昇させていたと、英医学誌「Heart」6月号(2012; 98: 920-925)に発表した。

カルシウムのみのサプリでさらにリスク上昇

 Li氏らは、EPICハイデルベルクコホートに登録された35~64歳の住民から、心筋梗塞などの心血管疾患にかかったことのある人を除く2万3,980人のデータを分析した。

 平均11年間の追跡中に、心筋梗塞が354人、脳卒中が260人、心血管疾患による死亡(心血管死)が267人で発生した。

 研究開始時における1日当たりのカルシウム摂取量で、最も少ない群(平均513ミリグラム)、二番目に少ない群(同675ミリグラム)、二番目に多い群(同820ミリグラム)、最も多い群(同1,130ミリグラム)に分けた。

 食事によるカルシウム摂取量と心筋梗塞、脳卒中、心血管死リスクの関連については、最も少ない群と比べ、2番目に多い群で心筋梗塞のリスクが31%低下していた。男女別で見ると、この関連は女性のみで見られ(57%リスク低下)、男性では統計学的に有意な差が認められなかったという。また、乳製品からの摂取に限っても、摂取量が最も少ない群と比べて2番目に多い群で心筋梗塞リスクが32%低下した。

 脳卒中については、カルシウムの摂取量が最も少ない群と比べた2番目に多い群のリスク1.50倍だったが、最初での2年間の脳卒中発症を除外すると統計学的に有意な差はなくなった。

 サプリメントによるカルシウム摂取は、全ての種類のサプリメントを使っていない人と比べて心筋梗塞リスクが1.86倍に上昇し、他のミネラルが入っていないカルシウムのみのサプリメントを使用している人では2.39倍とさらにリスクが上がっていた。このリスク上昇は、最初の2年間での心筋梗塞発症を除外しても変わらなかったという。さらに、追跡中に調査したうち最も直近のカルシウムのみのサプリメント使用が心筋梗塞と関連し(リスク2.17倍)、それまでの累積使用との間には関連が認められなかった。

 一方、脳卒中、心血管死とカルシウムサプリメントとの間には関連が確認されなかった。

食事による摂取も利益もたらさない

 今回の研究では、食事からのやや多めのカルシウム摂取が心筋梗塞リスクを減少させたが、これは先行研究でほとんど報告されていない。女性のみで関連が示されており、Li氏らは、女性特有の何らかの要素が関連した可能性に言及。「食事によるカルシウム摂取は、心臓や血管に対する明らかな利益をもたらさない」と結論付けている。

 一方、カルシウムのサプリメントは心筋梗塞リスクを大幅に増加させると警告。そのメカニズムとして、血液中のカルシウム濃度の急激な上昇は、血管の石灰化を招くと考えられ、血中カルシウム濃度は、心血管疾患の指標との関連も報告されている。さらに、カルシウム代謝を制御する副甲状腺ホルモンが心血管疾患に密接に関連することも示唆されており、その交互作用が注目されるという。

(編集部)

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