2012年06月05日 12:54 公開

高齢者に多い膝関節の骨折、軽い転倒でも起こる

脚引きずって歩くなら受診を

 膝の関節を骨折する高齢者が増えているが、中でも多いのが「脛骨(けいこつ)プラトー骨折」。すねの骨の膝関節部分の骨折で、若い人では骨折しないような軽い転倒などでも起こる。

歩行困難なケースも

 脛骨プラトー骨折は、脛骨高原骨折ともいわれる。北里大学医学部(神奈川県)の占部憲准教授(整形外科学)によると、高齢者では日常生活で外から軽い力が掛かっただけでも起こり得る骨折だという。

 「階段を踏み外したり、転倒したりして骨折する高齢者が多いのですが、脆弱(ぜいじゃく)性骨折といって、明らかな外傷がなくても起こるケースがあります」

 症状の表れ方は、脚を引きずる程度の痛みから歩行困難な重傷まで骨折の程度によって異なる。転倒した後などに膝の痛みを感じたときはもちろん、思い当たる節がなくても脚を引きずらないと歩けないような場合には、念のため最寄りの整形外科を受診した方がよい。

 「骨折が明らかなときは、レントゲン検査で診断は付きますが、レントゲンで分からないような場合にはコンピューター断層撮影(CT)や磁気共鳴画像診断(MRI)による検査が必要です」(占部准教授)

早期リハビリが大切

 骨折による関節面のずれが小さい場合は、ギプスや装具で固定するとともに、痛みに対しては消炎鎮痛薬を用いる保存療法が行われる。

 これに対し、関節面のずれが大きいときには、ずれを元に戻した上で金属板やねじで固定する手術が必要になる。

 いずれにしても膝の関節は、立つ、歩く、座るなどの日常生活の基本動作を行うのに欠かせないものだけに、早期のリハビリテーションが大切だ。

 「保存療法では、ギプスや装具で骨折部分を固定している間も筋肉を動かしてリハビリテーションを行います。関節としての重要な役割を果たしている関節軟骨の働き(潤滑)を維持するなどのためです。手術した場合は、病棟でもできるだけ早くから機械を用いて膝関節を伸ばしたり曲げたりする運動を行います」(占部准教授)

 ただし、骨が付かないうちに体重を掛けたりすると逆効果になるので、骨が付くまでは運動は慎重に行うことが大事になる。

 一方、骨折そのものを予防することも大切で、そのためには足元を明るくしたり、脚の筋力を落とさないように注意したりして転倒しにくい条件を整備するのがよいという。占部准教授は、基礎疾患(持病)に骨粗しょう症がある場合は、その治療を徹底するよう勧めている。

(編集部)

2008年8月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)