2012年06月15日 10:07 公開

入院中は安眠できない? 病棟の騒音が患者の睡眠に影響

米研究

 入院患者にとって病院とは、治療し病状を回復させるための場所。入院病棟の睡眠環境は良好なはず...なのだが、このほど医療従事者の話し声や医療機器の電子音などが睡眠に影響している可能性が、6月12日付の米医学誌「Annals of Internal Medicine」(電子版)に報告された研究で示された。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のOrfeu M. Buxton氏らが、健康な人を対象に入院病棟の14種類の夜間騒音を就寝中に再現したところ、静脈注入ポンプなどの電子音が最も睡眠に影響し、騒音によって心拍数が増加することが分かったという。

14種類の騒音で実験

 病棟内に響く日常的な音は何か。Buxton氏らが研究に使ったのは、次の14種類の騒音を録音したものだった。

  1. 良好な患者予後に関する男女の会話
  2. 不良な患者予後に関する男女の会話
  3. ドアの開閉音
  4. ドクターヘリの離陸音
  5. 製氷機から氷が出る音
  6. 静脈注入ポンプのアラーム音
  7. 飛行機の飛行音
  8. 洗濯物を運ぶランドリーカートの移動音
  9. 頭上で医師を呼ぶ声
  10. 電話の呼び出し音
  11. いびき
  12. トイレの洗浄音
  13. 自動ペーパータオルの稼働音
  14. 院外の交通騒音

 Buxton氏らは、健康な12人(女性8人、平均年齢27歳)を対象に、米マサチューセッツ総合病院の睡眠実験室で検討を行った。

 試験期間初日は、環境適応や睡眠時無呼吸症候群を含む睡眠障害の有無を確認するため音は流さず、2~3日目は14種類の騒音(正常聴力=40~70デシベル=の範囲に調整)を流した状態で就寝。睡眠中のさまざまな生体情報は「終夜睡眠ポリグラフ」を使った。なお、対象者には手首に睡眠・覚醒を判定する「アクティグラフィー」を装着した状態で、試験開始前の4日間以上は決まった時間帯に就寝してもらった。

ノンレム睡眠では電子音で覚醒

 睡眠はノンレム睡眠のステージ1(入眠期)~4(深眠期)、レム睡眠に分けられるが、Buxton氏らの検討の結果、音量が上がるにつれてステージ2(軽睡眠期)、ステージ3(中等度睡眠期)、レム睡眠時のいずれも目が覚めやすい状態になることが認められた。ただ、同じ騒音が流されても、ステージ3はステージ2に比べて覚醒しにくいことが分かったという。

 騒音の種類別では、ステージ2、ステージ3で最も目が覚めやすい状態にならせたのは「電話の呼び出し音」や「静脈注入ポンプのアラーム音」などの電子音で、「ドクターヘリの離陸音」をはるかに上回っていた。また、レム睡眠時では「頭上で医師を呼ぶ声」が最も影響していた。

 騒音によって目覚めたときの心拍数の増加が、騒音にさらされる前に比べて最も大きかったのはレム睡眠時で、次いでステージ3、ステージ2だった。

 Buxton氏らは、対象が健康な人であるため騒音による影響が過小評価された可能性があるとし、病棟内の騒音にさらされることが睡眠中の患者の健康を脅かしかねないと指摘している。

(編集部)

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