不妊のおはなし
2012年06月30日 12:30 公開

「不妊治療」始める前に知りたいこと

 「なかなか授からない」「もしかして不妊?」と思ったとき、不安を感じる人は多いはず。いざ不妊治療に取り組もうというときに気になる、受診のタイミングや治療方法、費用などの概要をまとめました。不妊治療をスタートさせる際の参考にしてください。

不妊治療を開始する時期、終了する時期

 不妊治療はいつから始めたらよいのでしょうか。世界保健機関(WHO)は「不妊」を「避妊をしていないのに2年以上にわたって妊娠に至れない状態」と定義しています。しかし、東邦大学医療センター大森病院(東京都)リプロダクションセンター・婦人科の片桐由起子准教授は、不妊治療を受けるタイミングについて「年齢によって時間的余裕の幅は異なりますし、ご本人たちが"授からない"と思った時点で受診されればよいと思います」として、不妊の定義にこだわらず、特に年齢が高い人は早めに受診することを勧めています。

 また同病院では、不妊治療を続けられる期限については「ご本人たちが納得されるまで」としており、患者本人の判断に任せています。ただし、年齢が上がるとともに条件は厳しくなり、44歳以降になると妊娠は相当難しく、妊娠した後の流産率も高くなるという事実をデータで示して説明するそうです。

 はらメディカルクリニック(東京都)では、治療を受けられるのは45歳までと年齢制限を設けています。原利夫院長は、その理由を「46歳以上の妊娠率は1%以下と医学的に難しく、妊娠しても赤ちゃんの奇形といった異常が出る確率が非常に高くなるため」と説明しています。

 このように、医療機関によって年齢制限の有無は異なるものの、いずれにしても45歳くらいが治療できるリミットの年齢と考えてよいようです。

不妊治療の方法

 不妊治療は、まず原因を明らかにするための検査のスクリーニングから始まります。不妊治療の方法は原因によって異なってきますが、主なものとしてタイミング療法や人工授精、体外受精、顕微授精などの方法があります。

「タイミング療法」

タイミング療法

排卵時期を正確に測り、排卵のタイミングに合わせて性行為を持つ。自然周期による方法と、排卵誘発剤を用いて行う方法がある。

「人工授精」

「人工授精」

体外に取り出した精子を子宮腔内に直接注入する方法。夫の精子を用いるAIH(配偶者間人工授精)と無精子症の方のために夫以外の精子を用いるAID(非配偶者間人工授精)に区別される。

「体外受精」

体外受精

体内から取り出した卵子と精子を体外で受精させて、発育した受精卵(胚)を子宮内に戻す方法。

「顕微授精」

顕微授精

乏精子症などの精子側の原因で体外受精がうまくいかない場合、卵子1個に精子1個を注入して受精させて受精卵を子宮に戻す。注入する精子は選別して質の良いものを選ぶ。

費用

 不妊治療にかかる費用は、個人差や健康保険適用外の治療法などもあり、非常に幅が広い。人工授精、体外受精、顕微授精は自由診療のため保険適用外で、治療費は医療機関によって異なりますが、基本的に費用は全額自己負担となります。ただし、特定不妊治療の体外受精と顕微授精法は、厚生労働省の特定不妊治療費助成事業により費用の一部が助成されます(給付条件や助成額などは自治体によって異なる)。

 以下は、今回取材した医療機関のスクリーニングや記事に掲載した疾患の検査、各治療法にかかる費用の例です。

  • ※掲載の費用は、あくまでも一例として参考にして下さい。
  • ※価格に記載のないものは全て自費払い。

東邦大学医療センター大森病院リプロダクションセンター(東京都)

  • 人工授精:8,400円(排卵日の予測、日にち設定などの診察は保険適用)
  • 体外受精:94,500円
  • 顕微授精:147,000円
    (上記の価格に別途再診料、血液検査料、薬剤料、注射料などがかかり、オプションを取り入れた場合はその分の費用が発生します)

はらメディカルクリニック(東京都)

〈不妊初期検査〉

  • 卵管造影検査(自然妊娠、人工授精希望の場合に必要):8,000円
  • 超音波検査(子宮、卵巣、排卵の確認):5,300円、保険適用=1,590円、
  • ホルモン数値測定(ホルモン5種の精密測定):各2,100円+諸費130円、保険適用=(各290~590円)+諸費約470円

〈記事で触れる疾患や症状に関する検査〉

  • hCG精密測定:3,200円
  • 着床不全・不育症の一次スクリーニング:27,300円
  • 体外受精術前検査:16,800円
  • 人工授精(AIH):19,005円
  • 体外受精:(例1)完全自然排卵周期法での採卵~新鮮胚移植=173,250円
    (内訳:採卵+媒精+培養3日目まで=131,250円、新鮮胚移植=42,000円)

恵比寿つじクリニック(東京都、男性不妊専門)

  • 男性不妊症の検査:42,000円(診察+精液検査+検尿+血液検査+超音波検査)、婦人科からの紹介状を持参の場合:31,500円
  • 精液検査のみ:10,500円

漢方治療

  • エキス顆粒剤の場合(薬価はメーカーによって異なり、年度により変更もある):1日分(3回服用)約100円以下~500円。保険適用の場合は、この価格の3割負担となる。
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