不妊のおはなし
2012年06月30日 12:31 公開

高齢での妊娠、卵子の老化が大きな障害

35歳頃から急激に進行

  女性は年齢が高くなればなるほど妊娠しにくくなるということはよく知られていますが、その大きな理由が卵子の老化によるもの。はらメディカルクリニック(東京都)の原利夫院長は「卵子は例外なく年齢と同じか、それ以上に老化が進んでいる状態しかなく、特に35歳頃から老化は急速に進行します」として、早めの妊娠を呼び掛けています。

染色体異常の増加と数の減少が原因

 女性は生まれた時から卵子を卵巣内に保有しており、数十年にわたって保管しながら排卵するため、加齢によって数は減少し、質も低下していきます。これが卵子の老化現象です。

 卵子の質とは、染色体の異常のこと。年齢の上昇とともに染色体異常の発生は増えていき、35歳頃から急速に進行します。卵子の染色体異常の割合は、35歳で50%、36歳で60%、40歳で96%とされています。

 染色体異常を持つ卵子には、精子と出合っても受精しない、あるいは受精しても受精卵がうまく分裂できずに着床しないといったトラブルが起こります。これは、その卵子が自然淘汰されているということで、結果として流産となります。一方で染色体異常のある卵子が受精し、妊娠を継続して出産に至った場合、出生児はダウン症候群に代表される染色体異常を持つことになります。このため、ダウン症候群児の出生率は、女性の年齢に従って高くなるといいます。

棒グラフで左から出生時、35歳、38歳、40歳

 卵子の数に関しては、出生時に約200万個保有している原始卵子は、35歳の時点で約2万5,000個以下、38歳で約5,000個、40歳で2,500個になるとされ、30歳代後半から急激なスピードで減少していくことが分かります。

棒グラフで左から出生時、35歳、38歳、40歳

卵子の老化に対する選択肢「凍結保存」

凍結保存

 近年の晩婚化によって、妊娠に取り組む年齢や不妊治療の開始年齢が遅くなっていますが、治療の効果が期待できる年齢としては、大前提が35歳前後、遅くても40歳以下で、それ以上の人は年齢にかなり足を引っ張られてしまうそうです。

 原院長は「高齢出産でも、不妊治療を行ったり生活習慣を変えたりすれば何とかなると思っている人が多いのですが、卵子に関しては、血管年齢や脳年齢のように実年齢より若返るという事象はあり得ません。ある意味、不妊症、習慣性流産、不育症の一番の大きな原因は、治療で対処できない"年齢"と考えてよいでしょう」として、女性にとって年齢が妊娠に対する大きな壁となることを強調しています。

 同クリニックでは、妊娠の可能性を広げる一つの方法として、精子や卵子(受精卵、未受精卵)の凍結保存を扱っています。女性の場合、既婚者は原則として妊娠の可能性が高い受精卵が対象となります。未婚者は病気あるいは治療により妊娠が不可能な場合のみといった条件があり、それを満たした人は未受精卵を預けることが可能。未受精卵の凍結保存に関しては、卵子の老化を考慮して35歳までに行うことが推奨されます。

 « 1 2 3 4 5 6 7 8  »

関連トピックス