不妊のおはなし
2012年06月30日 12:35 公開

卵管が詰まっても妊娠可能な体外受精

卵巣は機能低下が問題

 卵管に関する不妊の原因としては、卵管閉塞や卵管留水腫の頻度が高いようです。これらの病気の場合、卵管の詰まりを外科的手術で治療する方法がありますが、東邦大学医療センター大森病院(東京都)リプロダクションセンター・婦人科の片桐由起子准教授は「卵管の詰まりの原因や部位にもよりますが、卵管の詰まりが改善しても機能が回復するかどうか分からないため、手術をせずに体外受精を選択する人が増えています」と説明。また、卵巣では病変が認められる器質的な病気よりも、機能低下の方が懸念されるといいます。

外科的手術でも卵管の機能回復は不明

 子宮内膜症やクラミジア感染症が進行すると子宮頸(けい)管や卵管などで炎症を起こし、卵管やその周辺などが癒着して卵管閉塞に至ります。卵管留水腫は、卵管の先の卵管采(さい)が癒着し、卵管内に分泌物がたまる状態をいいます。卵管の炎症が悪化して骨盤腹膜炎などを起こすと痛みを生じますが、クラミジア感染症の場合は自覚症状がほとんどないのが特徴です。

 卵管閉塞、卵管留水腫のどちらの病気でも、一方の卵管の詰まりがなければ妊娠は可能だが、両側とも詰まっていると妊娠には至りません。卵管の通りを良くするには、腟(ちつ)・子宮から細いスコープを卵管に挿入する治療法が有効。卵管留水腫では、卵管開口術や卵管周囲の癒着を取る手術を行うことで症状が改善することもあります。ただし、こうした卵管の詰まりを改善する手術を行っても、卵管の機能までも回復するかどうかは不明という問題点もあるのです。

 卵巣から排出された卵子は、卵管に取り込まれて卵管膨大部で精子と出合う。そこで受精した受精卵は、細胞分裂を繰り返しながら卵管の中を移動して子宮に戻ってきます。卵子をキャッチする働き、卵子を送り届けるための蠕動(ぜんどう)運動などがうまく作用しなければ、管の詰まりがなくても卵管としての役割を果たせないことになります。卵管が詰まっている期間が長ければ、回復が難しくなる可能性も高まるのです。

 こうしたことから、最近は卵管が詰まったままでも妊娠できる方法として、体外受精を選ぶ人が増える傾向にあるようです。体外受精では、卵子を取り出して体の外で受精卵を作って腟から子宮に戻すため、卵管なしで妊娠が可能になります。

排卵障害や無月経は卵巣の機能不全

 卵巣の不妊因子としては、機能が低下する卵巣機能不全が大きな問題とされています。卵巣に問題があって生じる症状には、定期的な排卵が正常に行われない排卵障害や、無月経などがあり、治療方法は、排卵誘発剤を使用する卵巣刺激が主流。しかし、近年の不妊治療における卵巣機能低下には、妊娠を希望する女性の高齢化による生理的な卵巣機能低下が深く関わっています。

 その他の器質的な病気の因子として、両側あるいは一方の卵巣が腫れる卵巣嚢(のう)腫がありますが、病気にかかっても妊娠する機会は十分あるといいます。

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