不妊のおはなし
2012年06月30日 12:36 公開

感染率高いクラミジア感染症が原因に

自覚症状が乏しく気が付きにくい

 不妊に関わる性感染症の中では、クラミジア感染症の頻度が圧倒的に高い。感染率も高く、妊婦の5~10%に既往歴のある人がいるといいます。しのざきクリニック(東京都)の篠﨑百合子院長は「クラミジア感染症は自覚症状がほとんどないので、予防と検査を怠らず、見つかったら早めに治療することが大切です」として、感染と悪化を防ぐことの重要性を強調しています。

感染による付属器炎の悪化が原因

 クラミジア感染症は性行為によって発生します。女性の場合は、腟(ちつ)から感染して子宮頸(けい)管、卵管、卵巣へと進行し、炎症を起こすと、それらの器官が癒着するなどして本来の働きが失われ、受精できずに不妊につながります。

 自覚症状はないことが多く、あっても軽いため気が付きにくいのが特徴。女性だとおりものの増加や下腹部の軽い痛みなどが現れることもあります。男性が尿道炎を発症して感染が判明するケースも多いといいます。

 通常の婦人科検診にクラミジア感染症の項目は含まれていませんが、検査は子宮頸管の分泌物(おりもの)を採取して簡単に行えます。検査は、治療と一貫して行える上に他の病気のチェックもできる婦人科で受けることが望ましいですが、忙しい人や検査に抵抗がある人は、まずはインターネットなどで販売している検査キットを利用するのも一つの方法です。ただし、陽性反応が出た場合は、検査結果を持参して医療機関で治療する必要があります。

より安全な性行為で感染を防ぐ

 治療は、抗生物質の服用でほぼ完治すます。症状が悪化し、炎症が子宮から腹腔や上腹部に及んで骨盤腹膜炎や肝周囲膿瘍(のうよう)などを起こすと、外科的手術が必要です。卵管や卵巣といった付属器の部分にまで炎症が進行することはそれほど多くなく、早めに治療すれば、不妊を心配する必要はないといいます。

 自然治癒は難しく、放置していると感染が拡大してしまいます。また、パートナーも同様に治療しなければ自身が治っても再び感染してしまうため、一緒に治療しなければなりません。

 クラミジア感染症が不妊の因子であるだけでなく、淋(りん)病や性器ヘルペス、尖圭(せんけい)コンジローマなど、性感染症の多くで胎児や新生児に感染すると重大な影響を与えるものもあります。全ての感染症を100%防げるわけではないものの、性交渉の際には正しくコンドームを着用し、より安全な性行為を心掛けることが基本で、とても重要です。

 篠﨑院長は「クラミジア感染症は、医師の指示に従ってきちんと治療をすれば、後遺症を残すこともなく完治するので、いたずらに恐れる必要はありません」として、感染が判明したからといって過剰な心配の必要はないことを説いています。

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