2012年07月02日 10:07 公開

低炭水化物ダイエットで女性の心臓病などが増加

スウェーデン研究

 極端な炭水化物(糖質)制限食として知られるアトキンスダイエットで、心筋梗塞や脳卒中、動脈硬化などの心血管疾患が増加することが指摘されている。こうした中、ギリシャ・アテネ大学医学部のPagona Lagiou氏ら国際研究チームは、スウェーデンの女性約4万4,000人を約15年間観察したところ、糖質摂取量の低下、あるいはタンパク質摂取量の増加は心血管疾患に関する事故(心血管イベント)に関連していたと、6月26日付の英医学誌「BMJ」(2012; 344: e4026)に報告した。

糖質1日20グラム減で心血管イベント4%増

 Lagiou氏らは1991~92年、31~49歳のスウェーデン・ウプサラ地方の女性約9万6,000人に郵便で参加を呼び掛け、アンケートの記入と返送を依頼した。回答を送った4万3,986人を15.7年間追跡した。

 心血管疾患と糖質摂取の減少およびタンパク質摂取の増加、これらの複合スコア「low carbohydrate-high protein score(糖質とタンパク質の摂取をエネルギー量によって10段階に分け、糖質摂取が最も少ない場合とタンパク質摂取が最も多い場合をそれぞれ10点とし、両者を加算)」との関連を調べた。

 追跡期間中に発生した心血管イベントの内訳は、心筋梗塞などの虚血性心疾患703人、脳梗塞294人、脳出血70人、くも膜下出血121人、末梢動脈疾患82人だった。

 全ての心血管イベントの発生率は、低糖質スコアが1点増えるごとに4%増、高タンパク質スコアも1点増えるごとに4%増、複合スコアでは2点増えるごと5%上昇した。なお、低糖質スコアの1点増は1日当たりの糖質摂取の約20グラム減少、高タンパク質スコアの1点増はタンパク質摂取の約5グラム増加に相当するという。

極端な低糖質・高蛋白質食で6割増

 疾患別に見ると、虚血性心疾患と脳梗塞の発症率は、タンパク質摂取の増加、複合スコアの増加で上昇したが、その他の心血管疾患では統計学的に顕著な差が認められなかった。

 極端な低糖質・高タンパク質食について見ると、複合スコア6点以下と比べた全ての心血管イベントの発生率は、16点以上で60%上昇した。なお、発生率はスコア13~15点で54%増、 10~12点で23%増、 7~9点で13%増と、複合スコアが高いグループで明らかに高かった。

タンパク質は動物性か植物性かで変わらず

 食生活は長い期間のうちに変化する可能性がある。最初の10年間とそれ以降に分けて分析すると、各スコアと心血管疾患の関連は、後の期間では減弱していた。

 さらにLagiou氏らは、タンパク質が動物性か植物性かで関連が異なるかどうかを検証。低糖質スコアが1点増加するごとに全ての心血管イベントの発生率は、動物性タンパク質の摂取が中央値(1日40.9グラム)以上だった場合でも中央値以下だった場合でも、差は認められなかった。同様に、高タンパク質スコア、複合スコアと全ての心血管イベントとの関連は、タンパク質の摂取が主に植物性の場合と比べて動物性の場合でやや強かったものの、統計学的に顕著な差は認められなかった。

 同氏らによると、今回の研究で対象となった中高年女性は、必然的に高タンパク質摂取となる糖質制限による体重コントロールをしばしば行う層だという。今回の結果からは短期的な効果は分からないとしつつも、糖質やタンパク質の種類によらず低糖質・高タンパク質食を続ける場合は、心血管疾患リスクが問題になると結論付けている。

(編集部)

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