2012年08月23日 15:23 公開

ハチミツは子供のせき止めになる? イスラエル研究

 海外諸国では現在、子供に処方箋薬の風邪薬やせき止めを使うことを厳しく規制する動きが見られる。しかし、これらの薬は市販薬もあるため、規制したとしても家庭で誤用される恐れもある。一方で、スペインカンゾウ(リコリス)やクローブといったハーブなどによる代替医療の有用性や安全性に関する検証も進められつつある。イスラエルの小児科医、Herman Avner Cohen氏らは、風邪によるせきの症状を訴えて医療機関を受診した1~5歳の子供を対象にハチミツを使った治療を行い、結果を8月6日付の米医学誌「Pediatrics」(電子版)に報告した。果たしてその効果は...?

せきだけでなく本人と親の睡眠も改善

 ハチミツのせき止め効果に関してこれまで2件の臨床試験が行われており、世界保健機関(WHO)が乳児(1歳未満)以外へのせき止めとして使うことを推奨しているという。今回の検討は、イスラエルの外来小児科学会のほか、イスラエル・ハチミツ連盟などによる資金提供を受けて行われた。

 対象は、2009年1~9月に夜間のせきを訴えて地域の小児科を受診した1~5歳の子供。ぜんそくや肺炎、アレルギー性鼻炎などを持つ子供や、研究開始の前日から風邪薬やせき止め、ハチミツを使っていた子供は除外された。

 登録された300人の子供は3種のハチミツ(ユーカリ、シトラス、シソ科植物)または、偽薬としてハチミツと似た色・風味のナツメヤシのシロップのいずれかに割り付けられた。各グループとも、就寝の30分前に10グラムを1回服用した。

 風邪症状やせき、睡眠の評価は、受診日(研究開始日)と翌日(ハチミツまたは偽薬の使用日)のアンケートに基づいて行われた。最終的に評価対象となったのは全体の89.7%に当たる270人。解析の結果、全ての群で子供のせきの回数、重症度、せきのつらさ、睡眠に加え、親の睡眠、症状全体が受診日に比べて改善していた。さらに、3種のハチミツ群では偽薬群に比べて全ての項目で改善が認められた。ハチミツの種類による差はなかったという。

 Cohen氏らは3種のハチミツが偽薬に比べて夜間のせき、子供や親の睡眠を改善することが示されたと結論。一方で、偽薬に使われたナツメヤシのシロップについて、せきや風邪の症状を悪化させる可能性が報告されていたが、今回の研究では症状の改善が見られたと指摘している。

1歳未満には使用しないで

 今回の結果からCohen氏らは、子供に市販薬(OTC)のせき止めや風邪薬をあまり使わないよう啓発する活動が必要と述べている。とはいえ、そう甘い話ばかりでもない。同氏らは、ハチミツにはボツリヌス菌が含まれていることがあり、この菌に耐性がない1歳未満の乳児には使用できないこと、さらには虫歯のリスクの観点から、ハチミツの使用は必要最小限にとどめるべきとしている。

 なお、米メイヨー・クリニックの感染症内科医、James M. Steckelberg氏は、同クリニックの公式サイトにある一般向けQ&Aで、ハチミツによるせき止めの効果を示す報告があり、安価かつ入手が容易なため「試す価値はあるかもしれない」と答えている。ただし、せきは気道からの粘液排出を助ける反応で、必ずしも悪いわけではないと説明。「もし、他に健康問題がなければ、せきを止める必要性はない」と回答を結んでいる。

(編集部)

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