2012年08月28日 12:00 公開

朝、起きられないのは低血圧のせい?

 妻は朝、目が覚めてから起き上がるまでに30分以上かかります。機嫌も非常に悪いです。本人は低血圧だからというのですが、本当でしょうか。

sinji(男性 20代)

嘘です。

 低血圧を朝起きられない理由にしている人は多いですが、「低血圧の人は朝が弱い」という医学的な根拠はありません。

 寝起きが悪かったり、機嫌が悪かったりするのは、低血圧によるのではなく、生体リズムや自律神経のバランス、睡眠不足、睡眠の質の低下などが影響しています。

 寝ているときは副交感神経が優位でリラックスしていますが、朝になるにつれて少しずつ交感神経が優位となり、活動的になります。交感神経がピークになった時に目覚めれば、すっきり目覚められると考えられています。

 寝る前にパソコンやゲームに熱中したり、強い照明の下で仕事や勉強をしたりすると、交感神経が刺激され、睡眠が障害されやすくなります。副交感神経を優位にさせるためにはお風呂でゆっくり温まったり、就寝前の1時間は自分の好きなことをしたり、のんびり過ごしましょう。気持ちを楽にすると、寝つきが良くなります。自律神経のバランスを保つことが大切です。

 また、生活習慣が乱れ、不規則な生活を送っていたのでは朝起きるのが大変です。生活を見直してみましょう。夜更かしをしていませんか? 夜中に沢山アルコールを飲んだり、消化の悪い物を食べたりしていませんか?

 朝、すっきりと目覚めるために規則正しい生活やバランスの取れた食事、適度な運動を心掛けることから始めましょう。

 規則正しい生活をしても朝、起きられないときには、睡眠障害などの病気が隠れていることもありますので、受診することをお勧めします。

 なお、寝起きや急に立ち上がった時に目まいや立ちくらみが起きやすいのは、立ち上がることで血圧が過度に下がり、その血圧の変化に代償機構がすぐに反応できないためです。起立性低血圧という病気で、いわゆる「低血圧」とは異なります。起立性低血圧は色々な病気や薬が原因で起こりますが、加齢によっても起こります。起立性低血圧と診断された後は、急に立ったり振り向いたりせずにゆっくりと行動するようにしましょう。

中野 里美(なかの さとみ)

1990年、東京女子医科大学卒業後、慶應義塾大学医学部内科学教室に入局。都立広尾病院、国立病院機構栃木病院などを経て、2007年から三菱UFJニコス株式会社診療所勤務。同社において初代統括産業医として、社員の健康管理を行っている。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント。

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