2012年09月04日 12:00 公開

虫歯を放置すると死ぬことがある?

 虫歯を放置しておくと菌が脳にまわって死ぬことがあると聞いたことがあるのですが、本当ですか?

けんじ(男性 30代)

本当です。

 虫歯を放置すると歯の内部にある「歯の神経」と呼ばれている歯髄に炎症が起きます。歯髄の炎症がひどくなると歯の根の部分(根尖=せん=性歯周炎、根尖周囲膿瘍=のうよう=)や顎の骨などの炎症を引き起こします。

 また、鼻の周囲には副鼻腔(くう)という、上顎(じょうがく)洞、篩骨(しこつ)洞、前頭洞、蝶(ちょう)形骨洞の計4対から成る空洞があります。

 歯と関係が深いのは上顎洞です。上の奥歯の根の先が上顎洞の近くにあるため、歯や歯周組織の炎症が広がって、「歯性上顎洞炎」という副鼻腔炎の一種が起こることがあります。抜歯やインプラントの治療、虫歯が原因となって引き起こされることが多く、上顎洞炎の原因の10%くらいといわれています。

 さらに、副鼻腔炎が元で他の病気になることがあります。まれですが、副鼻腔の炎症が脳におよぶと脳膿瘍、髄膜炎、硬膜下膿瘍などが起こり、意識障害や麻痺(まひ)などを起こして、後遺症が残ったり、亡くなってしまったりすることもあります。

 ここまでひどくなるまでには、相当な強い痛みがありますので、歯医者さんへ駆け込む方が多いです。きちんと処置してもらえば手遅れになることは少ないでしょう。

 虫歯は放っておいても絶対に良くなることはありません。歯医者さんに行くことを怖がらず、虫歯かなと思ったらすぐに受診して処置してもらいましょう。虫歯を侮ると命取りになります!

中野 里美(なかの さとみ)

1990年、東京女子医科大学卒業後、慶應義塾大学医学部内科学教室に入局。都立広尾病院、国立病院機構栃木病院などを経て、2007年から三菱UFJニコス株式会社診療所勤務。同社において初代統括産業医として、社員の健康管理を行っている。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント。

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