2012年09月10日 16:14 公開

有酸素運動のススメ、認知症予防にも期待

1日30分、歩幅広げて歩こう

 糖尿病など生活習慣病予防対策の一つとして有酸素運動の効果が指摘されているが、有酸素運動は認知症の予防にも期待できるという。東京都健康長寿医療センター研究所の矢冨直美研究員に、有酸素運動の効果や実践方法を聞いた。

海外で有効性報告

 脳血管障害は生活習慣病と関係があり、ウオーキングなど運動習慣を持っている人は脳血管性認知症の発症が少ない。一方、認知症で最も多いアルツハイマー病については次のような報告があるという。

 「カナダの研究で9,000人を5年間追跡調査し、その半数以上を分析したところ、通常の歩行よりも強度のウオーキングなどの運動習慣が週3日以上ある人は、運動しない人に比べてアルツハイマー病発症の危険性は半分になっていました」(矢冨氏)

 ハワイの日系人を対象に1日の歩行距離とアルツハイマー病発症率を見た研究でも、1日に約3キロ以上歩いている人に比べ、約400メートル以下しか歩かない人は発症の危険度が2.2倍だった。

 「いずれも有酸素運動によってアルツハイマー病の危険度は半減しています。こうした運動効果のメカニズムについては、動物実験で次第に明らかになってきています」(矢冨氏)

毎日8,000歩が目安

 アルツハイマー病を引き起こすと考えられているアミロイドβ(ベータ)という物質を遺伝子操作でできやすくしたラットを用いた実験では、運動させたグループはアミロイドβの蓄積量が、あまり運動させないグループに比べて40%も少ないという結果が出ている。運動させたラットでは、アミロイドβを分解するネプリライシンという酵素が多く作られることも分かっているという。

 このほか、矢冨氏が考案した知的活動と有酸素運動を組み合わせた「地域型認知症予防プログラム」を導入している東京都世田谷区などの自治体でも、効果が認められている。

 「有酸素運動はインフルエンザワクチンのような予防効果はありませんが、アルツハイマー病の発症の危険度を低下させると言えます」(矢冨氏)

 実践するには、1日30分、週5回は歩幅をいつもより10~20%広げて早足で歩くとよいという。「それを含め毎日8,000歩を目安に歩くように」と矢冨氏は勧めている。

(編集部)

2010年6月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

関連トピックス

ファーマトリビューン(PharmaTribune)