2012年09月19日 09:52 公開

同じ肺がん患者でも喫煙者では10倍! がん細胞の突然変異

米研究

 喫煙者の肺がんでは、がん細胞での突然変異の発現頻度も大幅に増加するようだ。肺がんについて検討した米ワシントン大学のRamaswamy Govindan氏は、喫煙グループのがん細胞で見つかった点突然変異(DNAやRNAの1つの塩基が別の塩基に置き換わること)の発現頻度が、喫煙したことがないグループの約10倍に上ることを、9月14日付の米科学誌「Cell」(2012; 150: 1121-1134)で明らかにした。しかも、抗がん薬の標的となる変異は喫煙したことがないグループで見られる傾向にあるという。同論文内容の一端は、ドイツ医師会の公式サイトでも紹介された。

喫煙者はテーラーメード治療の機会を逃す?

 たばこの煙には数多くの発がん性物質が含まれていることから、喫煙者の腫瘍を調べれば多くの突然変異が見つかるだろうということは、当初から想定されていた。しかし、「これほど差があるとは考えていなかった」とGovindan氏。

 同氏らは、肺がん(非小細胞肺がん)患者17人(喫煙者12人、喫煙歴なし5人)から採取したがん標本17検体(腺がん16検体、大細胞がん1検体)について、全ゲノム解析を行った。

 その結果、喫煙グループの標本で見つかった点突然変異の頻度は、喫煙歴なしグループの標本の平均10倍に上っていた。さらに、喫煙歴なしグループの全標本には、抗がん薬(他のがんに対する治療薬や臨床試験中の薬剤も含む)の標的となり得る突然変異が1個以上含まれていたのに対し、喫煙グループの標本ではこのような現象が見られなかったという。

 Govindan氏は「分子標的薬が存在したとしても、実際に肺がん患者の予後(病気の見通し)が改善されるかどうかは別問題で、今後の研究が必要」としている一方、喫煙者については「将来のテーラーメイド治療による肺がんの治療機会を、みすみす逃してしまうことになるかもしれない」と述べている。

(編集部)

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