2012年10月04日 11:04 公開

睡眠薬や抗不安薬で高齢者の認知症リスク上昇

仏研究

 睡眠薬や抗不安薬として世界的に処方されているベンゾジアゼピン系薬。さまざまなリスクが指摘されているものの、実際には慢性的に処方されるケースが多い。フランス・ボルドー第2大学のAntoine Pariente准教授らは、65歳以上を対象に検討した結果、同薬を服用していると認知症リスクが1.6倍高いことを、9月27日付の英医学誌「BMJ」(電子版)に発表した。Pariente准教授らは、同薬を無差別に処方すべきではないと注意を促している。なお、日本で処方されている主なベンゾジアゼピン系薬は、睡眠薬が「ハルシオン」や「レンドルミン」など、抗不安薬が「デパス」や「ホリゾン」など。

過去に服用でもリスク1.56倍

 Pariente准教授らは、65歳以上の研究対象集団である「PAQUID」(フランス南西部ジロンド県およびドルドーニュ県の住民)に登録され、5年間追跡した2,084人のうち、認知症を発症していなかった男女1,063人(ベンゾジアゼピン系薬服用95人、非服用968人、平均年齢78.0歳)を対象に、同薬の服用開始とその後に発症する認知症の関連について評価した。

 追跡から5年の時点で認知症を発症していたのは、服用群は29人、非服用群は211人。年齢や性別、教育期間、他の薬剤服用、登録時から3年後の認知機能テスト(MMSE)のスコア低下で補正した結果、非服用群に対する服用群の認知症リスクは1.60倍だった。これは、抑うつ症状で補正してもリスクは1.62倍と高いままだったという。

 さらに、登録から8年、10年、13年、15年の各時点の評価を含めた解析でも認知症リスクは1.46倍、登録から8年目以降に認知症と診断された467人と認知症でない1,810人を比べた研究でも、ベンゾジアゼピン系薬を常用していた人の認知症リスクは1.55倍だった。特に注目されるのは、過去に服用していた人でもリスクが1.56倍だった点だ。

 以上のように、ベンゾジアゼピン系薬服用前の認知症の前段階症状などを除外しても、認知症発症に関連していたことなどから、Pariente氏らは同薬が無差別に拡大処方されるべきでないとして注意を促した。

(編集部)

関連リンク(外部サイト)