2012年10月10日 17:25 公開

上顎がん (希少部位のがん6)

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黒っぽい鼻血が頻繁に出る、同じ側で鼻詰まりも

 鼻腔(びくう=鼻の穴)や副鼻腔にできるがんのうち、一番多いのは上顎(じょうがく)洞にできる上顎がんだ。東京医科大学耳鼻咽喉科の伊藤博之講師は症状の特徴を「黒っぽい鼻血が頻繁に出る」と言う。最近の治療法などについても聞いた。

進行で眼球突出も

 副鼻腔とは鼻腔の周囲にある空間で、壁は粘膜で覆われている。蓄膿(ちくのう)症(副鼻腔炎)になる所だが、粘膜ががん化することがある。左右に4対あり、上がく洞はちょうど頬の裏側に位置し、副鼻腔の中で最も広い。

 上顎がんは初期には自覚症状はないが、やや進行すると鼻血が出てくる。「黒っぽい、くすんだ赤色の鼻血が少しずつ頻繁に出る」のが特徴だ。鼻腔の血管が破れて出る一般的な鼻血は鮮紅色なので明らかに違う。

 鼻血は常に同じ側から出て、同時に鼻血と同じ側で鼻詰まりが起こる。「常に同じ側」が症状のキーワードという。

 さらに進行すると周囲の組織を侵すため、さまざまな症状が表れる。例えば、眼球が突出してきたり、物が二重に見えるようになったり、頬が腫れて痛くなったりする。危険因子は喫煙や副鼻腔炎の既往で、60歳代の男性に多い。

化学・放射線療法が主体

 診断では、耳鼻咽喉科で一般的な診察を行った後、コンピューター断層撮影(CT)や磁気共鳴画像診断(MRI)で検査を行う。がんの疑いがあれば患部の一部を採取・検査し、がんかどうかを確定する。

 治療は、以前は手術が主体だったが、目や脳、顔面など大事な器官が近くにあることで、手術後の生活の質を落とさないような努力がなされてきた。そこで最近は、抗がん薬による化学療法を併用した放射線療法が主流になっている。

 ただ、進行した場合には手術が必須になることもある。治療効果は高まり、上顎がん全体の5年生存率は60%前後といわれている。

 伊藤講師は「片方の鼻の症状が、3~4週間続いたら、ためらわず耳鼻咽喉科を受診することを勧めます」と強調している。

(編集部)

2010年11月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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