2012年10月11日 17:25 公開

虫垂がん (希少部位のがん9)

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進行で右下腹部痛や違和感、「盲腸」から見つかる例も

 虫垂がんは大腸がんに属するが、大腸がん全体の1%以下しかない。ただ、症状がよく「盲腸」と呼ばれる虫垂炎に似ているので注意が必要だ。北里大学医学部(神奈川県)の渡邊昌彦教授(外科学)に、虫垂がんの特徴などについて聞いた。

しこり感じることも

 虫垂は虫垂炎を起こすことで知られる。私たちの消化器は、小腸から大腸に移行する所に盲腸がある。虫垂は、その盲腸から突き出ている長さ6~8センチ、太さ1センチに満たない管状の臓器だ。

 この虫垂にできたがんを虫垂がんという。虫垂がんは50~60歳代にできやすい。

 症状は初期には全くないが、進行すると右下腹部痛や腹部の違和感が起こり、右下腹部にしこりを感じることもある。これらは虫垂炎の症状とよく似ている。

 虫垂がんが大きくなると、盲腸に顔を出す。そうすれば、大腸内視鏡検査で発見も可能だが、初期には発見できない。また、コンピューター断層撮影(CT)による腹部の検査で何らかの異常が写ったとしても、それが悪性かどうかの診断はできない。実際、虫垂炎と診断され、手術をして初めて虫垂がんと分かるケースが少なくない。

半数以上は治る

 虫垂がんは、リンパ節や肺、肝臓への転移がしやすい腺がんと、袋状の嚢胞(のうほう)を形成する粘液嚢胞腺がんに大別できる。後者は、リンパ節や他臓器への転移はまれだが、嚢胞が破れると、おなかの中にがん細胞をまき散らす。

 治療は手術が基本で、虫垂をはじめとして、近くのリンパ節と大腸の右半分を切除する手術を行うことが多い。大腸の右半分にがんが発生した場合の治療法に準じた方法と考えてよい。

 渡邊教授は「治療すれば、転移の程度にもよるが、全体として半数以上は治ります。虫垂炎と診断されたときは、虫垂がんの可能性がないわけではありません。虫垂炎手術では、がんかどうかの病理検査をしているはず。検査結果を確かめることは、大事に至らないために大切かもしれません」と助言している。

(編集部)

2010年11月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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