糖尿病治療のおはなし
2012年10月12日 14:58 公開

インスリン治療中の生活ってどんな感じ?

仕事も! 旅行も! インスリン治療中でも諦める必要なし

 インスリン製剤は外観も進化しています。キャップをはめると万年筆のようになるものもありますし、持ち運びにかさばることもありません。保管も室温でできるものが多くなっています。ただし、「子供の手の届かないところに保管する」ことだけは守りましょう。

 インスリン治療をしているからといって、生活上で諦めなければならないことは特にありません。インスリンが作用し始める時間、作用がピークになる時間はほぼ計算できるのですから、製剤をうまく使いこなせば仕事も旅行も望むようにできます。「取引先との会食が多いが、相手の目の前でインスリンを打ちたくない」「食事の時間が不規則」という場合でも、その人の生活スタイルにあった製剤を選べばよいのです。

副作用への対応を知る

 副作用が少ないのがインスリン治療の長所ですが、「低血糖」と「シックデイ」という2つだけは心にとどめておく必要があります。

● 低血糖

 低血糖は、経口薬を含め、薬物治療中のどの患者さんにも起こり得る症状です。何らかの事情で「血糖が正常より下がり過ぎてしまった」とき、体がエネルギー不足を感じて信号を発してくるのです。手指の震えや不安、動悸(どうき)、頻脈、発汗、顔面蒼白が主な症状ですが、その前に異常な空腹感やだるさ、眠気を感じる人もいます。重症になると意識レベルが低下して、突然倒れるなど危険な状態になります。

 低血糖は、薬の量を間違えたときや、食事が予定より遅れてしまったとき、いつもより炭水化物を食べる量が少なかったとき、いつもより運動をしたときなどに起きやすくなります。運動の最中や運動後、その夜や翌朝に起こすこともあります。過剰な飲酒や長時間の入浴も低血糖の誘発要因です。

 これを防ぐため、糖尿病治療中の患者さんは、市販のブドウ糖飲料やアメなどブドウ糖を多く含む食べ物を常に携帯し、低血糖の気配を感じたら直ちに摂取しましょう。この対応を後回しにしてはいけません。自動車などを運転中に低血糖の気配を感じたら、ハザードランプを点灯させて車を路肩に寄せて停止し、ブドウ糖を摂取します。自分で対応できないときのため、周囲の人に低血糖時の対処法を知ってもらうことも大切です。

● シックデイ

 その名の通り気分が悪い状態(sick day)のことです。糖尿病治療中の患者さんでは、発熱や下痢、嘔吐(おうと)などで体調が悪くなり、食事ができなくなって血糖コントロールが乱れることがあるのです。この場合、食事が取れなくてもインスリン治療を勝手にやめてはいけません。かかりつけの医師に連絡して指示を仰ぎ、ブドウ糖の点滴など必要な対応を取ります。嘔吐や下痢が治まらず、食べ物を摂取できないなど、入院が必要な場合もあります。

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